1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09671096
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀江 良一 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (80229228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 克己 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (40291322)
須永 真司 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (70282621)
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Keywords | 染色体転座 / 造血器腫瘍 / DNA結合蛋白 / 遺伝子組み換え |
Research Abstract |
造血器腫瘍にはしばしば染色体転座が認められ、それに起因する遺伝子変化が癌化の直接の原因となっているが、その転座自体の生じる機構に関しては、未だ不明な点が多く残されている。我々はこれまでに、1)リンパ球系腫瘍の染色体転座切断部位には共通した塩基配列がみられること、2)その配列を特異的に認識するDNA結合蛋白が存在することより、この因子が転座の発生に関与する可能性を考え、この新規因子を単離しTranslinと命名した。さらにこの蛋白は、リング状8量体という高次構造をとりDNAの断端にのみ結合しうることを示してきた。我々は今回の研究で、Translinの機能ドメインを解析するため、変異プライマーを用いたPDRにより、L^<184>,L^<191>→P^<184>,P^<191>の部位特異的変異を導入しそのロイシンジッパー構造を破壊した。これによりTranslinは、多量体形成能だけでなくDNA結合能も失うことを確認し、ロイシンジッパーがTranslinの機能発現に必須な領域であることを証明した。さらに、2箇所ある塩基性領域(アミノ酸56-64,86-97)への変異導入実験(K^<60>,R^<62>,H^<64>→N^<60>,Q^<62>,N^<64>あるいはR^<86>,H^<88>,H^<90>→T^<86>,N^<88>,N^<90>)により、86番〜97番アミノ酸にかけての領域が、DNAとの結合に不可欠な部位であることを明らかとした。また、酵母Two-hybrid systemを用いたスクリーニングにより、Translinと相互作用する可能性を持った2つの新奇遺伝子を単離し、そのコードする蛋白の解析を行った。そのうちの一つは、TRAXと命名された遺伝子がコードする蛋白で、そのアミノ酸一次配列は、Translinと高い相同性を有しており、in vitroでは、Translinと結合することが確認された。もう一つは、RP58と命名されたZinc-Finger motifを有した転写制御因子と予想される蛋白をコードしていた。しかし、この蛋白とTranslinとの結合等の関連は未だ証明されておらず、今後の解析が必要と思われる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 青木 克己: "Isolation and characterization of a cDNA encoding a Translin-like protein,TRAX" FEBS Letters. 401. 109-112 (1997)
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[Publications] 青木 克己: "Genomic Structure and Chromosomal Localization of the Gene Encaling Translin,a Recombination Hotspot Binding Drotein" GENOMICS. 43. 237-241 (1997)