1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09671096
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青木 克己 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (40291322)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須永 真司 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (70282621)
|
Keywords | 造血器腫瘍 / 染色体転座 / DNA結合蛋白 / トランスリン / 機能ドメイン / 多量体形成 |
Research Abstract |
造血器腫瘍にはしばしば染色体転座が認められ、それに起因する遺伝子変化が癌化の直接の原因となっているが、その転座自体の生じる機構に関しては、未だ不明な点が多く残されている。我々はこれまでに、1)リンパ球系腫瘍の染色体転座切断部位には、共通した塩基配列がみられること、2)その配列を特異的に認識するDNA結合蛋白が存在することより、この因子が転座の発生に関与する可能性を考え、この新規因子を単離しTranslinと命名した。(Nature Genet.10,174-181,1995)さらにこの蛋白は、リング状8量体という高次構造をとりDNAの断端にのみ結合しうること、(J.Biol.Chem.272,11402-11407,1997)ロイシンジッパー構造をはじめとしてヒト・マウス・トリ間で非常に良く保存されていること(Genomics 43,237-241,1997)を示した。今回我々は、ヒト・マウス・トリの組み換えTranslin蛋白を生成して解析を行い、その電顕像より各々リング状高次構造をとることを明らかとした。またヒトにおいて、L184,L191→P184,P191の変異を導入しそのロイシンジッパー構造を破壊することにより、多量体形成能だけでなくDNA結合能も失うことを確認し、ロイシンジッパーがTranslinの機能発現に必須な領域であることを証明した。さらに、2箇所ある塩基性領域(アミノ酸56-64,86-97)への変異導入実験(K60,R62,H64→N60,Q62,N64あるいはR86,H88,H90→T86,N88,N90)により、86番〜97番アミノ酸にかけての領域が、DNAとの結合に不可欠な部位であることが明らかとなった。
|