1998 Fiscal Year Annual Research Report
血液細胞の増殖におけるJak2のキナーゼ様領域とN末端領域の役割についての解析
Project/Area Number |
09671118
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
酒井 郁也 愛媛大学, 医学部, 助手 (10205700)
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Keywords | Jak kinase / Kinase-like domain / N-terminal domain / CD16 / CD7 / IL-3 / Tcl-1 / STAT |
Research Abstract |
Jakキナーゼファミリー(Jak1,2,3,tyk2)には、キナーゼ領域のほか、キナーゼ構造を有するが、キナーゼ活性のないキナーゼ様領域とJakキナーゼファミリー間で相同性の高いN末端領域が存在する。これらの領域の役割を明らかにする目的でJak2のキナーゼ様領域、N末端領域、および両領域を欠損したJak2とCD16/CD7との融合遺伝子を合成、発現、活性化させ、それにより生じるシグナルの差を比べることにより、各々のJak2の領域の役割を解析した.その結果、キナーゼ様領域とN末端領域にはJak2のキナーゼ活性を制御する機構の存在が示唆され、これらを欠損したJak2とCD16/CD7融合蛋白は、恒常的活性化を認め、両領域を欠損したJak2とCD16/CD7融合蛋白は高度の活性化を認め、これを発現させたIL3依存性細胞株はIL3非存在下に細胞の増殖、アポトーシスの減少が認められた。つぎにJak2のN末端領域と結合する蛋白をyeast two hybrid systemを用いて解析したところ、癌遺伝子のTcl-1を同定した.GSTとTcl-1の融合蛋白はIn vitroでJak2,Jak3と結合した。 次に恒常的STATの活性化が認められるT細胞株およびT細胞腫瘍についてSTATの活性化とJakキナーゼの活性化との関連について解析した.その結果これらの細胞に認められる恒常的STAT3の活性化とJakキナーゼの活性化とのあいだに関連はなく、STAT3はJakキナーゼ以外のキナーゼによって活性化されていることが考えられた.
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