1998 Fiscal Year Annual Research Report
増殖刺激とのバランスによる造血細胞の分化・成熟制御機構の解明 -白血病の分化誘導療法への臨床応用を踏まえて-
Project/Area Number |
09671135
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
宮澤 啓介 東京医科大学, 医学部, 講師 (50209897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢口 誠 東京医科大学, 医学部, 助手 (50246310)
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Keywords | 造血 / 細胞増殖 / 細胞分化 / サイトカイン / 造血因子 / 白血病 |
Research Abstract |
研究課題の2年目の目標はほぼ達成されたと考える。造血細胞の分化と成熟が増殖刺激とのバランスの上で制御されていることを立証し,その知見を基に白血病細胞の分化誘導療法に応用することが本研究の主眼である。 一昨年度の研究成果として,造血因子依存性巨核球系細胞株MO7eにおいて,Steel Factor(SLF)+thrombopoie-lin(TPO)との同時刺激により,細胞増殖刺激能を最大限に誘導することで,巨核球系分化抗原の発現がTPO単独刺激に比べて有意に低下した。逆に,低濃度のcyotsine arabinoside(Ara-C)+TPOとの同時添加培養によりTPOによる増殖刺激効果を抑えることで,巨核球系への分化成熟はTPO単独に比べて増強する効果を報告した。この現象は,正常マウスの骨髄単核球をin vitroで培養した巨核球形成においても再現できた。 そこで,実際の急性骨髄性白血病20症例の末梢血ならびに骨髄より白血病細胞を分離し,in vitroにてG-CSF(50ng/ml)または低濃度のAra-C(5-10ng/ml)およびG-CSF+Ara-C同時添加培養を行った。20症例中4例にG-CSFにより増殖刺激効果が得られ,興味深いことに,この4例全例が,Ara-Cを同時に作用させることで,細胞形態およびCD13,CD33等の分化抗原の発現増強が観察された。また,マウス白血病細胞株WEHI-3Bにおいても,G-CSF+Ara-Cとの同時添加培養により,G-CSF単独に比較して分化増強効果が認められた。 以上の一連の結果より,G-CSF,TPO等の細胞系列特異性のサイトカイン刺激に低濃度の,Ara-Cを組み合わせ,細胞増殖をマイルドに抑制する状況をつくり出すことで,白血病細胞の分化,成熟が効率良く誘導されることが判明した。また,この効果は実際の白血病の分化誘導療法に応用できると考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yaguchi M, Miyazawa K et al.: "Vitamin K2 selectively induces apoptisis of blaotic cells in myelodyas plastic syndrome:flow cytometric detection of apototic cells using APO2・7 monoclonal antibody" Leukemia. 18・9. 1392-1397 (1998)
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[Publications] Miyazawa K.: "Hematopoietic stem cells" Int.J.Hematol.68・1. 337-338 (1998)
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[Publications] Yaguchi M,Miyazawa K et al: "Vitemin K2 therapy for a patient with myelodysplastic syndrome" Leukemia. 13・1. 144-145 (1999)
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[Publications] Yahata N et al.: "Late applarance of t(15;12)(q31;p12)in acute myeloid leukemia,associated with eosinophilia." Cancer Genet. Cytogenet. 107・2. 147-150 (1998)
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[Publications] 片桐智子,宮澤啓介他: "急性転化後、rhG-CSF併用Cytosine Arabinoside中等量の化学療法により正常核型細胞出現と12ヶ月以上の生存が得られた慢性骨髄性白血病" 臨床血液. 39・12. 1149-1156 (1998)
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[Publications] 鈴木章孝,宮澤啓介他: "Hody kin病におけるABVD療法+G-CSF併用による末梢血幹細胞採取の試み" 臨床血液. 40・1. 16-21 (1999)