1997 Fiscal Year Annual Research Report
尿細管間質障害の免疫学的機序の解明.-ノックアウトマウトによる検討
Project/Area Number |
09671168
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安藤 高志 九州大学, 医学部, 助手 (40281191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 恭一 九州大学, 医学部, 助手 (90294925)
滝本 博明 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (00253534)
平方 秀樹 九州大学, 医学部, 助教授 (70181146)
岸原 健二 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (80214774)
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Keywords | ノックアウトマウス / 尿細管間質障害 / 細胞性免疫 / 増殖因子 / T細胞レセプター |
Research Abstract |
1.マウスにおける尿細管間質障害モデルの作成:ノックアウトマウスを用いた尿細管間質障害の検討の為に、我々が従来用いてきたアドリアマイシン静注によるネフローゼ発症後腎不全に至るラットモデルのマウス(C57bl/6)への応用を検討した。マウスはラットに比較してアドリアマイシンに耐性が高く、ラットの4倍量(10mg/kg×2回)の投与にてタンパク尿が出現し20mg/kgに容量を増加すると急性腎不全を発症した.マウスにおけるモデル作成には10-15mg/kgが適当と考えられた. 2.CD8ノックアウトマウスに尿細管結紮モデルを作成した予備実験では対照マウスと同様の変化が観察され、CD8細胞の尿細管間質障害への関与は小さい事が示唆された. 3.CD45ノックアウトマウス(CD45KO)における検討:CD45は膜貫通型チロシン脱リン酸化酵素で、T細胞レセプターを介したシグナル伝達を担うことによりリンパ球の活性化を制御している.このCD45をノックアウトしたマウスにおける腎組織を経時的に検討した. (1)CD45KOマウスの腎臓には生後3週より糸球体のメサンギウム領域に顆粒状の免疫グロブリン(IgA,IgG,IgM)の沈着が認められ、60週まで持続した.電子顕微鏡にてelectron dense depositが傍メサンギウム領域に認められた。 (2)光学顕微鏡にてメサンギウム領域の拡大が認められた、しかし60週においても糸球体硬化、尿細管間質線維化は認められなかった. (3)正常C57bl/6マウスへのCD45KOマウスリンパ球の移入実験にて、糸球体における上記同様の病理変化が認められ、リンパ球活性化制御異常が上記の病変をもたらすことが確認された.CD45KOマウスはヒトのメサンギウム増殖性腎炎(IgA腎症)に類似した新たなモデルマウスとなると考えられた.さらに糸球体への免疫グロブリンの沈着と腎病変の糸球体硬化・間質線維化への進行とは異なる機序が働いている事も示唆された.
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