1998 Fiscal Year Annual Research Report
リドル症候群の遺伝子解析と食塩感受性高血圧におけるNaチャネル異常についての検討
Project/Area Number |
09671170
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
徳永 寛 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (00305012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富田 公夫 熊本大学, 医学部, 教授 (40114772)
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Keywords | リドル症候群 / Naチャネル |
Research Abstract |
臨床的にLiddle症候群と診断された発端者の男性とその家系4例、正常コントロール6例の計11例より白血球を採取して、genomic DNAを抽出した。上皮型Naチャネル(hENaC)のβおよびγサブユニットをPCRにて増幅後、drect sequencingを行った。発端者とその家系4例中3例にはβサブユニットの615番目のProがSerに変わる新しいミスセンス変異(P615S)を見いだしたが、他の1例と正常コントロール6例全例にはこの変異は認められなかった。変異が認められた者は、いずれも高血圧と低K血症を認め、Liddle症候群と考えられた。変異が認められなかった1例は、高血圧は認めたが主常血清K値を示し、その4人の子供はいずれも正常血圧であることから、Liddle症候群は否定的と考えられた。今年度は、P615Sミスセンス変異が実際にhENaCの機能亢進を起こすか否かを確認する目的で発現実験を行った。hENaCのα、β、γサブユニットそれぞれを含む3種のプラスミドcDNAはDr.Welsh(米国)から入手した。βサブユニットプラスミドcDNAにP615Sミスセンス変異をサブクローニングし(P615Sβ)、direct sequencirlgでこれを確認した。野生型α、β、γサブユニットのプラスミドcDNAを0.2ngづつアフリカツメガエルの卵母細胞の核内に注入した。また同様に変異型チャネルを再構成するためにα、P615S β、γサブユニットのプラスミドcDNAを0.2ngづつアフリカツメガエルに注入した。20℃で24時間培養後、hENaCの機能をアミロライド感受性Na電流として測定した。変異型は野生型に比べ3.1倍のアミロライド感受性Na電流を認め、P615Sミスセンス変異がhENaCの機能亢進を起こすことが確認された。以上より、今回新たに同定されたβサブユニットのP615Sミスセンス変異はLiddle症候群の原因遺伝子のひとつであることを証明し、これを発表した。
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