1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09671176
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
富野 康日己 順天堂大学, 医学部, 教授 (60130077)
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Keywords | IgA腎症 / メサンギウム細胞 / IgA免疫複合体 / FcαR / FcRγ鎖 / 分子的会合 / FcγRIIb / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
当文部省科学研究費補助金(9年度予算)を用い、IgA腎症発症におけるIgA/IgA免疫複合体の役割を検討する目的で、培養メサンギウム細胞(MC)に発現するFcαRの性質を解析した。その結果、MCに発現するFcαRは骨髄系細胞で報告されているものと塩基配列上完全に一致し、さらにその結合ドメインの欠落するsplicing formが存在していることも確認した。MCにおけるFcαRのmRNA発現は、我々が作製したbinding siteを認識している抗ヒトFcαR抗体刺激により増強された。また、高濃度凝集IgA刺激下においてMC上のFcαRは、シグナル伝達分子であるγ鎖と分子的に会合しうることを初めて証明した(論文投稿中)。つまりMC上に発現するFcαRは多量体のIgAあるいはIgA-ICにより架橋されることで発現を増強し、同時にFcRγ鎖と分子的会合を起こすということである。このことは、IgA/IgA-IC(とくに多量体構造をとるものほど)が、FcαRを介して直接的にMCを活性化できることを意味し、FcαRはIgA腎症の病態を考える上で重要であることを明らかにした。 次に、FcRの腎炎全般における役割を解析するため、古典的実験腎炎モデルである馬杉腎炎をFcRの視点から再評価した。先述のγ鎖ノックアウトマウスに馬杉腎炎を惹起し検討したところ、初期のheterologous phaseが完全に欠落することを確認した。また、FcγRからの刺激に対して抑制性のシグナルを伝えようとするFcγRIIbノックアウトマウスを用い同様に検討したところ、浸潤する多核白血球数が野生型マウスと差がないにも関わらず、初期の炎症は早期にそして重症化した。いままで補体に制御されると考えられていたこのphaseにおいてもFcRがその鍵を握る分子であることが明らかにされた。同時に、FcRに非依存性の経路の存在も確認し、これがレニン・アンギオテンシン系と深く関わっていることも明らかにした。(論文投稿中)。
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