1998 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト胎児肺形成に関する分子生物学的アプローチとその臨床応用
Project/Area Number |
09671196
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
池田 一成 慶應義塾大学, 医学部・小児科, 助手 (00193194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳村 光昭 慶應義塾大学, 医学部・小児科, 助手 (70172153)
佐藤 清二 慶應義塾大学, 医学部・小児科, 講師 (80146638)
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Keywords | 胎児肺 / 肺サーファクタント / サーファクタント蛋白 / 肺上皮細胞 |
Research Abstract |
1. 肺上皮細胞の機能的な成熟のマーカーとなる4種類のサーファクタントア水蛋白のうちサーファクタント蛋白B(SP一B)は肺サーファクタントの表面張力低下作用に不可欠な蛋白である。現在までSP-Bの生理作用として表面張力低下作用のみが強調されてきた。我々はSP-Bノックアウトマウスのへテロ接合体がwild typeに比し高濃度酸素負荷に対して有意に感受性が高いことを示した。すなわちSP-Bは酸素による肺傷害に対する防御効果も有していると考えられた。 2. 肺上皮細胞分化のマーカーとなる計9種類の蛋白(SP-A,SP-B,SP-B proprotein,SP-C proprotein,SP-D,CC10,TTF-1,HNF-3β)に対するそれぞれの抗体を用いて、パラフィン包埋切片を利用した免疫組織化学(酵素抗体法)の手法を確立した。今後、胎児新生児の肺病理組織に広く応用が可能で、病態解析に有用と考えられる。 3. 新生児医療の進歩した現在でも在胎22週出生児の予後は不良である。その原因として、易感染性とともに肺の未熟性は重要な問題である。ヒト妊娠21週胎児を家族の同意を得て計6例剖検する機会があり、肺上皮細胞分化の程度を上記手法ならびに電子顕微鏡を用いてin vivoで明らかにした。即ちpseudoglandular phaseに相当する妊娠21週では肺胞腔の形成は未熟で、肺機能に必須の蛋白の発現が極めて乏しいことがわかった。
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