1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09671241
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Research Institution | NAGOYA CITY UNIVERSITY |
Principal Investigator |
岩瀬 弘敬 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (40211065)
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Keywords | ATBF1 / 乳癌 / 癌抑制遺伝子 / LOH / DCIS |
Research Abstract |
乳癌における片側アレルの消失(LOH:loss of heterozygosity)は17p,17q,13qに高頻度に認められ、p53(17p13)、BRCA1(17q21)、BRCA2(13q12-13)が同定されている。一方、16番染色体の長腕(16q22-ter)にも高頻度のLOHが報告されているが、ATBFl遺伝子は16q22.3・23.1に存在しており、細胞分化に重要な因子とされており、乳癌の発生、進行に関わっている可能性があった。 (1) 散発性乳癌における17p,16q.13q,17q領域のLOHの臨床的意義: 乳癌においてLOHが20%以上の高頻度で認められる部位は17p,16q,13q,17qであり、これら領域のLOHは互いに相関している傾向が認められた。また,組織学的悪性度との関連も認められた。 (2) 浸潤癌および非浸潤性乳管癌痢変における16q領域のLOHの検討: 浸抽癌および非浸潤性乳管癌(DCIS)病変からDNAを抽出し、多領域のLOHを検討したが、非浸潤癌は浸潤癌に比べ、16qのLOHの頻度が高く認められ、16qに存在する遺伝子が癌化の初期に働くと推察できる。 (3) 臨床各種癌におけるATBF1の発現: 外科的に得られた各種癌のうち肺癌に関しては、ATBFlmRNAの発現レベルが肺癌の組織分類いかんにかかわらず、肺癌部分で有意に減少していることがわかった。これはin situ hybridizationの結果から正常気管上皮細胞に特異的にATBF1mRNAは発現しているものが消失することが原因と考えられる。乳癌に関しても同様にスクリーニングしたが、これまで著明なATBF1との関わりは証明できていない。
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