1997 Fiscal Year Annual Research Report
膵胆管合流異常症の発癌機構解明のための分子生物学的検討
Project/Area Number |
09671242
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
常盤 和明 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (30163968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻田 修平 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (20128698)
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Keywords | 膵胆管合流異常症 / 発癌 / 胆汁酸 / 膵酵素 |
Research Abstract |
膵胆管合流異常症における発癌機構解明のために、はじめに本症小児例の胆嚢粘膜の増殖活性について検討した。細胞増殖活性の指標としてKi-67(MIB-1)を用いた解析では、合流異常症の胆嚢粘膜では対照に比較して有意に増殖活性が亢進しており、特に膵管胆管型合流異常症では胆管膵管型に比較して有意に増殖活性の亢進が認められた。一方、癌抑制遺伝子p53蛋白の免疫組織学的検討では全例でp53蛋白の発現を認めなかった。すなわち、本症の胆嚢粘膜には小児期早期より細胞増殖活性を亢進させる因子が作用しているが、発癌に至る遺伝子変化は今後も検討を要すると考えられた。 次に、本症における膵液の胆道内逆流と胆汁うっ滞が発癌に及ぼす影響を検討するために、発癌実験モデルを用いた研究を行った。すなわち、ハムスターの胆嚢内にdrug delivery systemを応用して3-methylcholanthrene(MC)を作用させて胆嚢癌を発生させる実験系で、胆汁酸(ケノデオキシコール酸)と膵酵素(トリプシン)が癌発生に与える影響を検討した。その結果、MC単独投与群に比較して、MCに胆汁酸を添加した群の方が腫瘍発生率が高く、また、胆汁酸に加えて膵酵素を添加した群ではさらに高頻度で腫瘍発生が認められた。また、発癌例では約40%にp53蛋白の発現が認められたが、非発癌例では発現が認められなかった。この結果より、胆汁酸は発癌促進作用を有しており、膵酵素はその発癌作用をさらに促進されることが示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] K.Tokiwa: "Early mucosal changes of the galloladder in patients with anonalous arrangement of the pancrecticobiliary duct." Gastroenterology. 110・5. 1614-1618 (1996)
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[Publications] 常盤和明: "前癌病変としての膵胆管合流異常症に対する治療方針" 消化器癌. 4・5. 353-357 (1994)
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[Publications] K.Nakamura: "The effects on cellular functions of bile acid and trgpsin in stagnant bile juice in anomalous arrangement of the pancreaticobiliary duct" Cancer Letters. 86. 53-58 (1994)
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[Publications] 中村 香: "膵・胆管合流異常症における発癌に及ぼす胆汁中胆汁酸の意義" 日本小児外科学会雑誌. 30・4. 725-731 (1994)