2000 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌組織浸潤・肝転移における間質組織の果たす役割の分子生物学的検討
Project/Area Number |
09671247
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Research Institution | KITASATO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
蔵並 勝 北里大学, 医学部, 講師 (80170075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越田 佳朋 北里大学, 医学部, 助手 (00276099)
榎本 拓茂 北里大学, 医学部, 助手 (70255339)
柿田 章 北里大学, 医学部, 教授 (90109439)
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Keywords | 大腸癌 / 肝転移 / 血管新生 / 浸潤 / 免疫染色 / in situ hybridization |
Research Abstract |
本年度は"大腸癌の浸潤・血管新生・転移の成立には、正常組織成分である間質組織、特にマクロファージが重要な役割を果たしている"との仮説のもとに、本年度は悪性腫瘍と間質細胞との相関関係を臨床検体を用いて血管新生について検討した。【対象及び方法】1.対象:1996年7月より1998年2月の間、手術施行された原発性大腸癌28例を対象に検討した。18例に対しサイトカイン誘導物質であるPSKの術前投与(3g/日x 7日間)を行い、非投与群10例とPD-ECGF活性に及ぼす影響を検討した。2.PD-ECGF蛋白:ホルマリン固定パラフィン切片を用いてPD-ECGF蛋白発現を検討した。1次抗体として抗ヒトPD-ECGF抗体を使用、ABC法で免疫染色を行った。3.PD-ECGF mRNA:ヒトPD-ECGF cDNAより作成したcRNA Probe(500bp)を用いてin situ hybridizationを施行した。4.PD-ECGF酵素活性:術前及び執刀時に癌部及び非癌部組織を採取。抗ヒトPD-ECGF抗体を用いたELISAにて活性を測定した。【結果】1.PD-ECGF蛋白:PD-ECGFは、細胞質および細胞膜に瀰漫性に認められた。腫瘍細胞間質及び最進部周囲間質に過剰に認められた。主体は線維芽細胞及びリンパ球由来の細胞であった。2.PD-ECGF mRNA:PD-ECGF mRNAは、腫瘍細胞及び間質に認められたが、主に腫瘍間質のマクロファージに高度発現を認めた。3.PD-ECGF酵素活性(unit/mg protein):術前PD-ECGF活性は癌部:55.6±26.7,非癌部:52.0±15.7であった。術前のPSKの投与により癌部の酵素活性値はPSK投与群で有意に上昇(術前53.3±29.9、術後85.8±44.2)を認めたが、非投与群では明らかでなかった。【結論】大腸癌血管新生に主要間質成分である線維芽細胞及び単核細胞であるマクロファージ細胞が、癌細胞以上に重要な働きをしていることを、臨床材料を用いた実験により明かにした。
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Research Products
(1 results)