腹部内臓痛に対する胸腔鏡下大内臓神経(幹)切離術の臨床応用に関する研究

1997 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09671248
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
• Research Institution: Kitasato University
• Principal Investigator: 高橋 毅 北里大学, 医学部, 講師 (70245405)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 吉田 宗紀 北里大学, 医学部, 講師 (50201017) ; 島田 謙 北里大学, 医学部, 助手 (60216059) ; 伊藤 義也 北里大学, 医学部, 助手 (40203187) ; 泉家 久直 北里大学, 医学部, 助手 (30193379) ; 柿田 章 北里大学, 医学部, 教授 (90109439)
• Keywords: 神経切離術 / 胸腔鏡 / 大内臓神経 / 膵癌 / 慢性膵炎 / 腹部頑痛

Research Abstract

平成9年度の目標は、(1)ビ-グル犬を用いて「両側大内臓神経幹切離術の安全性を検証する」ことであった。この点については、胸腔鏡下片側大内臓神経切離術と同様に、神経切離直後に動脈圧の一過性の低下をみた。しかし、その程度も片側切除術と同等であり、また30分程度で血圧は神経切離前値に回復した。その他、術中・術後ともに両側大内臓神経切離術に固有と考えられる合併症や血液検査値の異常をみとめなかった。この結果、本法が低侵襲・安全な手術手技であることが確認できた。この結果に基づいて、胸腔鏡下両側大内臓神経幹切離術を3名の腹痛を有する慢性膵炎患者に実施したが、全例で満足すべき除痛効果が得られ、引続き外来にて経過観察中である。
第2の目標であった(2)「胸腔鏡下大内臓神経幹切離術の膵癌患者に対する臨床応用と有用性の評価」に関しては、当年度の実施患者数は僅か3名のみであった。このため、次年度も引続き症例数の蓄積を計る予定である。
なお、進行性膵癌患者では胆道狭窄や十二指腸・空腸などの消化管通過障害のために開腹手術を余儀なくされる症例が多く、これらの患者に開腹術と胸腔鏡下手術を同時に実施することは患者・医療者側の双方にとって、かなりの物理的・精神的負担であった。このため、1997年からは開腹を要する患者に胸腔鏡下手術の替わりに開腹時に経食道裂孔性に両側大内臓神経幹切離を行う術式を導入した。この術式に関しては、いまだ3例の実績のみであるが、患者の受ける手術負担も小さく、また全例で胸腔鏡下神経切離術と同等の徐痛効果が得られることが実証された。従って、次年度からは胸腔鏡下大内臓神経切離術とともに、経食道裂孔性両側大内臓神経幹切離術の有用性についても臨床的評価を行っていく予定である。

Research Products

• [Publications] T.Takahashi、他: "Thoracoscopic splanchnicectomy for the relief of intractable abdominal pain" Surgical Endoscopy. 10. 65-68 (1996)
• [Publications] 高橋 毅、他: "腹部内臓性疼痛に対する胸腔鏡下内臓神経切離術" 手術. 50(13). 2141-2147 (1996)
• [Publications] 高橋 毅、他: "膵癌の腹部疼痛に対する外科的除痛法:胸腔鏡下内臓神経切離術" 日本外科系連合学会雑誌. 21(5). 887-892 (1996)
• [Publications] 高橋 毅、他: "末期膵癌の腹痛に対する胸腔鏡下左大内臓神経切離術の臨床的意義" 日本外科学会雑誌. 97(2). 221- (1997)