1999 Fiscal Year Annual Research Report
腹部内臓病に対する胸腔鏡下大内臓神経(幹)切離術の臨床応用に関する研究
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09671248
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Research Institution | Kitasado University |
Principal Investigator |
高橋 毅 北里大学, 医学部, 講師 (70245405)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 義也 北里大学, 医学部, 助手 (40203187)
島田 謙 北里大学, 医学部, 助手 (60216059)
柿田 章 北里大学, 医学部, 教授 (90109439)
吉田 宗紀 北里大学, 医学部, 講師 (50201017)
北村 雅也 北里大学, 医学部, 助手 (60281325)
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Keywords | 神経切離 / 胸腔鏡 / 大内臓神経 / 膵癌 / 除痛 / 癌性疼痛 / 腹痛 / 経食道裂孔性 |
Research Abstract |
最終年度にあたる平成11年度は、専ら臨床症例数の蓄積に務め、さらに、これまでに実施してきた大内臓神経切離術の臨床症例についての総合的評価を行った。 1994年〜1999年の期間に、あわせて26名の患者(膵癌stageIV22例、慢性膵炎4例;男:女=14:12;年齢:36〜76歳)が大内臓神経切離術の適応となった。術式は経胸的胸腔鏡下大内臓神経切離(15例)、開腹的経裂孔性大内臓神経切離(11例)で、16例で左側大内臓神経切離のみ、10例には両側大内臓神経切離を行った。術後の除痛効果は上腹部痛の「消失」、「軽減」、「不変」の3段階で評価・観察した)。その結果、経胸的胸腔鏡下または開腹的経裂孔性大内臓神経切離のいずれの術式でも神経切離直後に一過性の平均動脈圧低下がみられたが、手術は全例、重篤な合併症もなく終了した。除痛効果は、23例のうち(術前に腹痛のない2例と不安神経症のため評価不能の1例を除外)20例で術前の腹痛は消失した。他の3名では、術後も右上腹部痛が、また術前から腰背部痛があった9例では、術後も腰背部痛が残存した。神経切離後、いずれの患者でも左上腹部痛の再発はなかったが、術直後に上腹部痛のない19例の膵癌患者のうち6例では、病勢の進行のため経過中に腰背部痛や右側〜下腹部痛が出現した。慢性膵炎患者では術後は腹痛の再発はなかった。 本研究の結果は、大内臓神経切離が膵由来の上腹部痛に対して高い除痛効果を有し、術後の麻薬性鎮痛剤使用の回避・減量が可能となること、また本術式が安全で低侵襲裡に可能であることを示している。術式の選択は、開腹を必要とする患者には経裂孔性大内臓神経切離術、開腹が不要な場合は胸腔鏡下大内臓神経切離術が、殊によい適応と考えられた。今後さらに、腹腔鏡下経裂孔性大内臓神経切離術の確立により、本法がより低侵襲裡に実施可能になるものと期待される。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 高橋 毅: "進行膵癌の癌性疼痛に対する胸腔鏡下大内臓神経切離術"胆と膵. 20(8). 677-680 (1999)
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[Publications] 島田 謙: "進行膵癌腹部癌性疼痛に対する経食道裂孔性大内臓神経切離術"日本外科学会雑誌. 100(臨増). 304 (1999)
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[Publications] 高橋 毅: "膵癌患者における上腹部頑痛に対する経食道裂孔性大内臓神経切離術の臨床的評価"日本消化器病学会雑誌. 96(臨増). A249 (1999)
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[Publications] 島田 謙: "末期膵癌患者に対する外科的ターミナル・ケア"日本外科系連合学会雑誌. 24(3). 401 (1999)
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[Publications] 高橋 謙: "進行膵癌患者の腹部癌性疼痛に対する大内臓神経切離の除痛効果と臨床的意義"日本肝胆膵外科関連会議 抄録集. P319 (1999)
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[Publications] 島田 謙: "進行膵癌患者の腹部癌性疼痛に対する内視鏡的除痛法-胸腔鏡下左大内臓神経切離術"弟8回クリニカルビデオフォーラム抄録集. (in press). (2000)
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[Publications] Ken Shimada: "ISW99 Abstract Book"International Sociely of Surgery(ISS). 265 (1999)