2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09671267
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
清川 兼輔 久留米大学, 医学部, 助教授 (10195399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 真輔 久留米大学, 医学部, 助手 (70289495)
矢永 博子 久留米大学, 医学部, 講師 (70217107)
田井 良明 久留米大学, 医学部, 教授 (20081789)
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Keywords | 下顎骨の再建 / 再生医学 / 熱処理骨 / 腸骨海面骨 / BMP |
Research Abstract |
1,悪性腫瘍に対して下顎骨と口腔組織が合併切除された場合、下顎骨と口腔組織の再建が機能的にも整容的にも重要である。血管柄付骨移植と皮弁・筋皮弁の移植を同時に行うことが最も確実な方法であるが、大幅な手術侵襲の増大と手術時間の延長という問題点がある。本研究の目的は、再生医学的手法を用いて下顎骨を再建し、これらの問題点を解決することにある。 2,その基礎実験として白色家兎の大腿骨を用いた実験を行っている。一側の大腿骨を摘出後骨髄を一旦取り出し、皮質骨のみを100℃の生理食塩水で30分以上煮沸して熱処理し、細胞成分および蛋白成分を完全に分解して無機質化する。その無機質化した皮質骨に再び骨髄を戻し、2分割して白色家兎の背部の皮下と筋肉内にそれぞれ移植する。1カ月後に家兎をと殺し埋入した骨を取り出して、X線、CTおよび組織学的に骨再生の状態を検索する。 3,結果は、皮下よりも筋肉内へ移植した方に明らかに良好な骨再生が認められた。現在さらにBMPを加えて検討中である。 4,この実験結果より、臨床的には熱処理した下顎皮質骨と腸骨海綿骨(骨髄)および筋弁によって切除部における下顎骨の再生が可能であることが示唆された。この実験結果をふまえて実際に口腔癌再発例2例に臨床応用を行った。その術式は、まず摘出組織より下顎骨のみを切離し、骨髄を除去した後皮質骨に多数の小孔をあけ煮沸して熱処理した。これを欠損部にチタンプレートで再固定し、内腔に腸骨海綿骨を移植した。その周囲を大胸筋皮弁の筋体で全周性に被覆し、同時に皮島の部分で口腔再建を行った。術後結果は2例とも極めて良好であり術後合併症は認めず、ほぼ元通りの下顎形態が再現された。またX線と骨シンチにて再建部での下顎骨の再生が確認された。 5,本研究によって従来の方法とは全く異なる再生医学を応用した新しい下顎再建法が確立された。
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Research Products
(1 results)