1998 Fiscal Year Annual Research Report
硬変肝切除後肝再生不良に対する再生促進の試み:分子生物学的アプローチ
Project/Area Number |
09671293
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Research Institution | FACULTY OF MEDECINE,YAMANASHI MEDICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松本 由朗 山梨医科大学, 医学部, 教授 (20159156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 秀樹 山梨医科大学, 医学部, 講師 (30181316)
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Keywords | 肝硬変 / 肝再生 / クッパー細胞 / サイトカイン / NFκB |
Research Abstract |
申請者等の研究目的は、肝切除後の肝再生の機序を分子生物学的に明らかにし、続いて、種々の付加が加えられた(肝膵同時切除、硬変肝など)場合の切除後の肝再生不良に対する治療法の開発である。 今年度はラットの肝膵同時切除モデルを開発し、70%肝切除に加え、50%の膵切除を付加し、その肝再生について検討した。その結果肝切除のみの群に比べて、大量膵切除を加えると、明らかに肝エネルギーレベルの低下が著しくかつその低下が遷延し、さらにBrdUによる免疫染色の解析では、S期細胞が明らかに減少しており、肝再生が著しく遅延していることが明らかとなった。また電子顕微鏡により残存肝の超微細構造を検索したところ、膵大量切除を併施した群では、lipid depositが著明であり、更にミトコンドリア膜の破綻を示すと考えられるmyelin figureの像が著明に認められ、肝切除に大量膵切除を付加することにより、ミトコンドリアが物理的に障害され、その結果肝エネルギー産生が低下し、脂質代謝ならびに肝再生が抑制されるとの結果を得た。 また一方、血中IL-6が肝切除単独群に比べて、膵切除付加群で優位に高値であることを明らかにし、これらIL-6が肝非実質細胞であるkuppfer細胞をプライミングし、活性化されたkuppfer細胞からのスーパーオキサイドが肝ミトコンドリアを障害しているとの仮説に基づいて、現在、上述の肝膵同時切除モデルにおいて、kuppfer細胞の活性化抑制作用を有するGadolinium chlorideを投与し肝再生の機序にいかなる変化が生じるかを、検討しているところである。
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[Publications] Yoshihoro Nozaki, Yoshiro Matsumoto: "Reconshideration of Lymph Node Metastasis pattern(N Factor)from Intrahepatic cholangiocarcinoma using the International Union Against Cancer" Cancer. 83・9. 1923-1929 (1998)
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[Publications] 松田政徳、松本由朗: "術後肝障害" 消化器外科. 21. 909-910 (1998)