1998 Fiscal Year Annual Research Report
高感度撮像素子を応用した蛍光標識モノクローナル抗体による大腸癌診断に関する研究
Project/Area Number |
09671296
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
田中 達郎 浜松医科大学, 医学部, 助手 (90273185)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮川 厚夫 浜松医科大学, 光量子医学研究センター, 教授 (10283376)
今野 弘之 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (00138033)
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Keywords | 高感度撮像素子 / 蛍光標識モノクローナル抗体 / 大腸癌リンパ節転移 / 微小転移 / CEA / Cy5.5 |
Research Abstract |
組織自己蛍光が軽度で組織透過性に優れた近赤外線領域での蛍光色素Cy5.5を抗CEAモノクローナル抗体に標識し、CEA産生ヒト大腸癌TK4を移植したヌードマウスに静脈内投与した。蛍光色素Cy5.5はシアニン系の蛍光色素で他の短波長の蛍光色素に比し組織透過性良好である。組織蛍光を635nmのレーザー光で励起し、690nmでICCDカメラ下に蛍光を観察し、解析装置にて蛍光強度を定量化した。ヒト大腸癌株TK4をヌードマウス背部皮下に移植後約30日にて対照群にはPBS、IgG群はCy5.5標識IgG、CEA群にはCy5.5標識CEAモノクローナル抗体を静脈内投与した。観察した蛍光像を画像処理装置で定量化し比較すると、腫瘍組織における投与24時間後の蛍光強度はCEA群は44であり、IgG群25(p<0.05)、対象群11(p<0.001)に比し有意に高値を示し、周囲筋組織はCy5.5投与にてもその蛍光は上昇しなかった。ヌードマウス背部皮下に移植した腫瘍の蛍光像を皮膚の上から直接観察した場合でも増強した蛍光像が観察された。次にヌードマウスを開腹し後腹膜にヒト大腸癌TK4の小組織片を縫着することにより、旁大動脈リンパ節、鼡径リンパ節に転移が生じるモデルを作成し、Cy5.5標識CEAモノクローナル抗体を静脈内投与した。投与24時間後に犠牲死せしめ、旁大動脈リンパ節、鼡径リンパ節の蛍光を観察した。周囲組織と明確に識別される径1〜2mmのリンパ節の蛍光像が観察され、蛍光を発したリンパ節は病理組織診断にて大腸癌細胞の転移が確認された。同様のシステムを用い、腹腔鏡下に腹腔内を観察できることを確認した。以上の結果より蛍光標識した腫瘍特異性抗体を投与し、ICCDカメラにて蛍光を観察する事により微小転移特にリンパ節転移の有無、局在を診断できる可能性が示唆された。
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