1999 Fiscal Year Annual Research Report
肝虚血限界の拡大、特にストレス反応蛋白からみた微小循環障害と虚血耐性機構の解析
Project/Area Number |
09671300
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
野口 孝 三重大学, 医学部, 教授 (40144258)
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Keywords | ischemic preconditioning / heat shock protein / 微小循環障害 / 類洞内皮細胞機能 / 核内転写因子 / nitric oxide / 小腸虚血モデル / cytoprotection |
Research Abstract |
目的:肝温虚血再灌流ストレスを、予めsublethal stressとして負荷したり、薬物を用いてpreconditioningすることで、限界を超える肝温虚血でも、heat shock protein(Hsp)70発現に依存したlethal stressの耐性機構が成立(平成9年度)、さらに肝微小循環障害の動的解析から肝類洞内のdramatic eventsを確認(平成10年度)。そこで最終年度の平成11年度は、(1)培養系で肝実質・非実質細胞間作用、転写因子やnitric oxide(No)との関係、(2)肝以外に小腸で虚血限界の拡大をcheckし、その病態を検討、などを行い、虚血耐性機構を明らかにし、本研究を総括することを目的とした。 実験群:wistar系雄性ラットを用いて、実験Iでは20分のinitial ischemia負荷7日後、Geranyl-Geranyl-Acetone 200mg/kg・体重、連日投与(経口)14日後にそれぞれ、45分の肝温虚血(死亡率100%)を行い、in vitroとして培養系で検討。実験IIでは、小腸30分虚血負荷7日後に90分虚血(死亡率100%)を行い、Hsp発現や1週生存率、組織学的変化などを検討。 成績:1.preconditioningによる肝類洞内皮細胞保護機序として、Hsp70の発現がNF-KBを抑制し、iNOsによるNO合成系をdown regulateした。2.ischemic preconditioningにより、小腸温虚血90分の生存率75%と有意に改善し、Hsp発現、peroxy-nitrite産生低下、アポトーシス制御が示された。 結語:肝のみならず、小腸でもischemic toleranceが成立し、Hsp発現が転写因子を抑制し、cytoprotetive effectsを招来し、虚血限界の拡大に寄与した。故に、肝切除をはじめとした臓器広範切除後の残存臓器障害、あるいは臓器移植グラフト機能不全などの改善、さらに生体侵襲時の臓器保護に、Hsp発現誘導は臨床的に大きな意義を有しており、今後この方面での研究、臨床検討が期待される。
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Research Products
(1 results)