1997 Fiscal Year Annual Research Report
肝炎ウィルスの病態からみた肝細胞癌に対する総合治療戦略
Project/Area Number |
09671330
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
久保 正二 大阪市立大学, 医学部, 講師 (80221224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西口 修平 大阪市立大学, 医学部, 講師 (10192246)
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Keywords | 肝細胞癌 / 肝切除 / B型肝炎 / C型肝炎 / G型肝炎 |
Research Abstract |
過去約7年間における肝細胞癌患者330例における肝炎ウィルスマーカーをみると、血清中HCV抗体陽性は248例で、そのうち161例ではHBc抗体が陽性であった。また39例がHBs抗原のみ陽性、13例がHCV抗体およびHBs抗原がともに陽性であった。さらに19例ではHBc抗体のみ陽性であった。したがって330例中11例において血清中に肝炎ウィルスマーカーは検出されなかった。しかしこの11例中5例では肝細胞癌組織中にHBxRNAが検出された。したがって肝細胞癌のほとのどの症例が肝炎ウィルスと関連していると考えられた。またHCV抗体が陽性であってもその約1割の症例ではHCV RNAが検出されなかった。さらにHBs抗原陰性でかつHBc抗体陽性110例中2例において血清中にHBV DNAが検出された。HGV RNAは213例中12例に検出されたが、いずれの症例もHCVあるいはHBVのマーカーも検出され、HGV単独感染例はみられなかった。したがってHGVと肝細胞癌の関連は少ないものと考えられた。HBV関連肝細胞癌はHCV関連肝細胞癌に比較し、年齢が若く、大型肝細胞癌が多く、比較的肝機能の良好な症例もみられた。一方、HBV関連肝細胞癌に比較し、HCV関連肝細胞癌では多中心性発癌症例の頻度が高く、なかでもHBc抗体陽性例で最もその頻度が高かった。肝切除や肝動脈塞栓術後のHBVの動態をみると、wild株を有し、術前肝機能検査値、特にALT値の変動のみられた症例では術後HBV量が増加し、それにひきつづいて肝炎再燃がみられることがあることが判明した。これらの成績をもとに、肝炎ウィルス病定からみた肝細胞癌に対する治療戦略の確立をめざす予定である。
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[Publications] Shoji Kubo,et al.: "Poor association of GBV-C viremia with hepatocellular carcinoma" Journal of Hepatology. 27. 91-95 (1997)
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[Publications] 榎本大 他: "G型肝炎ウィルス感染の診断と治療" 臨床科学. 33(8). 940-944 (1997)
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[Publications] 榎本大 他: "G型肝硬変、肝癌はあるのか?" Modern Physician. 17(9). 1115-1117 (1997)
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[Publications] Shoji Kubo,et al.: "Development of hepatocelluler carcinoma in patients with MCV infection,with or without past HBV infection,and relationship to age at the time of transfusion" Vox Sang. 74. 129- (1998)
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[Publications] Shoji Kubo,et al.: "Clinico pathological critera for multicentricity of hepatocelluler carcinoma and risk factors for such caranogeuesis" Jpn.J.Cancer Res. (in press).
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[Publications] Shoji Kubo,et al.: "High prelalence of infection with hepatitis B and C viruses in patients with hepatocellular carcinoma in Japan" Hepatogastroenteral. (in press).