1997 Fiscal Year Annual Research Report
自己腫瘍特異的CTLのTCR VβレパトアとTh1/Th2サイトカイン産生能の解析
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09671340
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
有賀 淳 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (40221056)
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Keywords | CTL / TCR Vβ / サイトカイン / 免疫療法 |
Research Abstract |
C57BL6(B6)マウスを同種系のfibrosarcoma,MCA207で免疫した後のリンパ球はin vitroで抗CD3抗体とIL-2にて刺激培養後に同腫瘍の肺転移を特異的に抑制した。この活性化リンパ球は4hr^<-51>Cr release assayでは特異的な細胞障害活性を示さなかったが,再度腫瘍で刺激することにより特異的にIL-2,IL-6,IL-10,GM-CSF,IFNγ,TNFαの産生を認めた。この活性化リンパ球のTCR VβレパトアをFACSにて解析すると、Vβ-5,7,8,11の割合がそれぞれ全体の5%以上で合計85%以上を占めていた。このうち抗Vβ-8抗体で刺激培養後の活性化リンパ球は95%Vβ-8陽性細胞であり、腫瘍の肺転移抑制効果を認めたが、抗Vβ-5,7,11抗体で活性化したリンパ球では肺転移抑制効果は認められなかった。Vβ-8陽性リンパ球はType 1サイトカインを優位に産生したが、Vβ-5,7,11陽性リンパ球はType 2サイトカインを優位に産生していた。 これらの事実をヒトにおいて検討するためには、まず腫瘍特異的CTLの誘導が必要であるがヒトの腫瘍は免疫抗原性が低く、有効なCTLの誘導が困難なことが多い。特に、腫瘍のHLA-class I,II分子やB7.1,B7.2等のco-stimulatory moleculeの発現低下が原因と考えられている。そこで有効なCTL誘導のために、強力な抗原提示細胞である樹状細胞を用いてCTLの誘導を試みたところ、ヒト胃癌、大腸癌、肝細胞癌患者で自己腫瘍特異的細胞障害活性を有するCTLの誘導が可能となった。このCTLのTCR VβレパトアをFACSにて解析すると、Vβ-5.1,6.1,8,12,17,21.3の割合がそれぞれ全体の5%以上で高値であった。このCTLは自己腫瘍特異的にGM-CSF,IFNγ,IL-10を産生した。以上の結果を基に平成10年度はヒトCTLにおいて各Vβ陽性群を特異的に活性化し、その細胞障害活性とサイトカイン産生パターンを検討していく予定である。
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