1997 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌におけるWAF1発現と腫瘍増殖速度,及びp21WAF1導入可能性に関する研究
Project/Area Number |
09671342
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
原田 伸比古 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (10198921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今泉 俊秀 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (10075377)
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Keywords | p53 / p21WAF1 / アポトーシス / 膵癌 / 膵癌細胞株 |
Research Abstract |
ヒト膵癌固定標本62例を用いてp53とp21WAF1の免疫染色を行い,ヒト膵癌凍結標本20例に対してRT-PCRで,p53とWAF1の相関について検討した.更に6種類のヒト膵癌細胞株を用いてWestern BlotとRT-PCRで,同様の検討を行った. 2.膵癌組織の免疫染色では,p53陰性かつp21WAF1陽性例,p53陽性でp21WAF1陰性例,いずれも核内にp53の蓄積,p21WAFの発現を認めた.ヒト膵癌組織のp53とp21WAF1の発現頻度は,p53陽性は62例中23例(37%),p21WAF1陽性は62例中30例(48%)で,有意な相関がみられた.RT-PCRでも野生型p53症例ではWAF1のシグナルがみられたが,変異型p53症例では1例を除いてWAF1のシグナルはみられず,mRNAのレベルでも野生型p53とWAF1との間に相関がみられた.ヒト膵癌細胞株のWestern BlotとRT-PCRでは,WAF1の発現は野生型の3株のみに観察され,変異型では観察されなかった.従って,変異型p53細胞においてはWAF1が発現しないために,G1からS期のチェックポイントでアポトーシスが生じず,これが腫瘍増殖の一因となっている可能性が示唆された.
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