1997 Fiscal Year Annual Research Report
単一細胞の遺伝子解析による膵管内乳頭腫瘍の悪性度診断に関する研究
Project/Area Number |
09671350
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
池田 靖洋 福岡大学, 医学部, 教授 (40038758)
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Keywords | 膵管内乳頭腫瘍 / p-53 / Ki-67 |
Research Abstract |
膵管内乳頭腫瘍は病理学的には過形成、腺腫、非浸潤癌、浸潤癌が含まれ、従来の組織形態学的診断では良悪性の診断は困難な事が多い。本研究の目的は免疫組織学的又分子生物学的手法により、膵管内乳頭腫瘍の悪性度診断をしようとするものである。本年度は自験例の膵管内乳頭腫瘍の全切除標本につき、連続切片を作成し、H&Eとともに、P-53及びKi-67の免疫組織染色を行い、解析した。 1990年3月〜1996年4月までに当院外科ならびに関連施設で外科的に切除された膵管内乳頭腫瘍40例を対照とした。男性26例,女性14例で年齢平均は65.3才であった。材料は全てホルマリン固定、パラフィン包埋切片を用いた。H&E染色による組織学的診断では,過形成11例,腺腫9例,腺癌20例であった。腺癌のうち,間質浸潤は11例,リンパ節転移は2例に認められた。免疫組織染色はKi-67に対する抗体MIB-1,p53蛋白(mutant and wild type)に対する抗体DO-7及びPAb1801を1次抗体として、LSAB法で行った。Ki-67陽性細胞の評価は,腫瘍細胞核1000個当たりのMIB-1 Labeling Index(LI)を算出し,p53蛋白の発現については,陰性(negative to sporadic positive)および陽性(focal,patchy,and diffuse positive)に分類し検討した。 各病変における平均MIB-1LIは,浸潤癌,非浸潤癌,腺腫,過形成でそれぞれ64.65±9.48、42.71±11.84、19.21±6.70、7.48±4.79であった。p53蛋白の発現は,DO-7,PAb1801ともに,浸潤癌10/12例(83.3%),非浸潤癌6/11例(54.5%),腺腫3/11例(27.3%)に見られ,過形成は全例陰性であった。 本研究により、Ki-67抗原標識率、p53蛋白の発現が膵管内乳頭腫瘍の悪性度と相関する事が明らかとなり、膵管内乳頭腫瘍の成立,進展に関与していることが示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 中山吉福,岩永真一,岩崎宏,村山寛,大島彦一,菊池昌弘,真学城兼清,宮崎宏,池田靖洋: "膵管内乳頭腫瘍の良悪性について-特に分子生物学的側面から-" 病理と臨床. 15・7. 604-610 (1997)