1998 Fiscal Year Annual Research Report
超短時間エポキシ処理による自己心膜の石灰化抑止効果
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09671366
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
渡辺 弘 新潟大学, 医学部, 講師 (10240516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木 伸夫 新潟大学, 医学部附属病院, 医員
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Keywords | エポキシ化合物 / 石灰化 |
Research Abstract |
前年度に確立させた超短時間エポキシ処理法に従い、今年度は実際に動物実験を行った。ビーグル犬の肺動脈にパッチとして以下の材料を移植した。I群:エポキシ処理した自己心膜、II群:無処理の自己心膜、III群:グルタールアルデヒド処理ウマ心膜(Xenomedica)。8週後に移植片を採取、その乾燥重量あたりのカルシウム沈着量を原子吸光法で測定し、石灰化の程度を評価した。さらに組織学的にも検討を加えた。 カルシウム沈着量はI群:0.245±0.140μg/mg、II群:0.706±0.249IIII群:0.869±0.111 I群はII群、III群に比し有意に(p<0.01、p<0.0001)カルシウム沈着量が低値であった。摘出肉眼標本では、全群共内皮により被覆されていた。組織所見に於いて、心膜外側面でのリンパ球、マクロファージ等の細胞浸潤はI群、II群で少なかったがIII群では著明に認めた。心膜内への新生血管の侵入や線維芽細胞の侵入は、I群、III群で認められなかったのに対し、II群では全例に高度に認められた。 本研究ではエポキシcompoundがカルボキシル基と反応するという性質だけに注目し、拒絶されない自己心膜を用いた。そこで自己心膜であるが故に必要となった短時間での処理法を考案した。この処理法により超短時間エポキシ処理された自己心膜は、カルシウム沈着が少なく、さらに組織適合性のよい生体材料であるという結論を得た。今後の心臓血管系の手術の際に利用できる補填材料として有用なものとなりうると考えられる。
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