1998 Fiscal Year Annual Research Report
血管内視鏡を用いた心拍動下心房中隔欠損手術法の基礎的研究
Project/Area Number |
09671367
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大関 一 新潟大学, 医学部, 助教授 (70213717)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽川 正和 新潟大学, 医学部附属病院, 医員
篠永 真弓 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (10293234)
土田 正則 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (60293221)
諸 久永 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (00251801)
|
Keywords | 心臓内視鏡 / 内視鏡的手術 / 心房中隔欠損症 / 心拍動下手術 |
Research Abstract |
心房中隔欠損症の手術は胸骨正中切開または右開胸により、人工心肺装置を用いて心停止下または心室細動下に行われているのが一般的である。心房中隔欠損症の手術は比較的安全に行われているが、人工心肺装置を用いたことによる合併症も含めて手術危険率はゼロではない。また、他の心奇形等を合併し全身状態の不良な症例に対し、人工心肺装置を用いることは危険である。 我々は人工心肺装置を用いずに心拍動下で心房中隔欠損症の手術を行うために、心臓内視鏡の開発、動物実験での応用を行った。 1. 血管内視鏡の改良 血管内視鏡はバルーンで血流を一時的に遮断し、生理食塩水を注入することにより血管内を観察するものであるが、それを直接心臓内に挿入したところで血液により何も観察できないばかりか、生理食塩水の大量注入は心不全をひき起こすのみであった。そこで、従来の硬性鏡の先端にアダプターを付けることにより、他に特別な操作なしで心臓内を観察できるように改良した。 2. 心臓内の観察 ビーグル犬を用いて、実際に心臓内を観察した。 先ず、前胸壁に小切開を加え、心膜を切開すると右心房が観察される。右心耳に巾着縫合をかけ、同部より改良型内視鏡を挿入し、心臓内を観察した。心房中隔、卵円孔、冠静脈洞、三尖弁、腱索など右心系の構造が観察可能であった。また、この操作中に血行動態の変動は認められなかった。 3. 心房中隔欠損孔の閉鎖 当初、カテーテルを利用して、心房中隔欠損孔の閉鎖を行うべく試みたが、カテーテルの開発に困難を極めた。そこで、クリップを用いることとした。実際の正常ビーグル犬では心房中隔欠損孔は無く、そこで先ず、卵円孔の閉鎖をこのクリップを用いて試みたところ成功した。 以上より、この改良型心内視鏡を用いることにより、侵襲を与えることなく右心系を観察することができた。ビーグル犬を用いた実験で、この改良型内視鏡による心腔内観察下で卵円孔を閉鎖することができたが、心房中隔欠損孔の閉鎖には、欠損孔の大きさや形態に個人差があること、時に脆弱な組織であることを考慮するならば、安全に容易にかつ確実に閉鎖できる手法の開発が必要である。
|
Research Products
(1 results)