1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09671376
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
西村 和修 京都大学, 医学研究科, 助教授 (70252450)
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Keywords | TMLR / 遠隔成績 / 交感神経 / 組織血流 / Bradykinin |
Research Abstract |
【目的】TMLR(Transmyocardial Laser Revascularizaton)は虚血部の血流を改善させ狭心症の治療手段として有用であるが、臨床においては、心筋シンチにおいて改善がみられるものの、壁運動の評価や胸心痛の消失の原因は未だ解決されていない。そこでわれわれはTMLRを施行した豚において長期遠隔期の成績を検討した。 【方法】豚において次のように1群、2群に分けてTMLRの遠隔期成績を正常対照群と比較検討した。1群;第1対角枝(D1)領域にTMLR(30J)により30個のMicro Channelを作成し同時にD1を結紮したもの。 2群;1群と同様のTMLRを施し,D1は放置したもの。 術後長期遠隔(12ヶ月後)おいて2群のD1を結紮後,両群の同僚域の壁運動、組織血流を測定し、犠死後組織学的検討を行った。また同時に誘発物質であるBradykininの心筋内注入によりTMLR部に交感神経終末末端が破壊されているか否かの評価も行った。 【結果】1群においては、D1領域の壁運動はsevere reducedかnoneであり、組織血流も認められず、急性冠動脈閉塞に対するTMLRは効果が認められなかった。また組織学的検討においても、同部は著明な繊維化が認められ、Bradykininによる痛み刺激に対しても反応が著しく低下していた。2群においては、D1を結紮した後も、同部の壁運動は低下しているものの、組織血流も認められ、TMLRの一定の効果が認められた。また組織学的検討においても、正常対照群と比較し同部の心筋の梗塞部位縮小が認められ、痛み刺激に対する反応も正常対照群と大差を認めなっかた。 【結論】TMLRによっても交感神経末端は破壊されず、虚血心筋における胸心痛の消失は組織血流の改善によるものと考えられた。しかしその効果は壁運動を改善させるまでには至らないと考えられた。
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