1998 Fiscal Year Annual Research Report
ラット心筋細胞における蛋白燐酸化酵素Cの活性とその心筋保護作用に関する研究
Project/Area Number |
09671379
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
黒田 弘明 鳥取大学, 医学部, 助教授 (70186550)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石黒 眞吾 鳥取大学, 医学部・附属病院, 講師 (70212868)
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Keywords | 蛋白燐酸化酵素C / 単離心筋細胞 / 虚血再潅流 / Ca^<2+>過負荷 / 細胞長 / 筋小胞体 / Na^+-Ca^<2+>交換系 |
Research Abstract |
これまで,蛋白燐酸化酵素C(以下PKC)の活性化による、虚血・再灌流時心筋保護効果について、細胞内Ca^<2+>、pH及び収縮拡張能の指標である細胞長といった面から対照群と比較検討を行ってきた.その結果活性化PKCは,虚血中のCa^<2+>過負荷や細胞内の酸性化を抑制し,再灌流時に心筋細胞の不可逆的な障害である過収縮を防止することを明らかにした. 本年度は,PKCによる虚血中Ca^<2+>過負荷抑制のメカニズムを解明することを目的とし,これまでと同様成熟ラット単離心筋細胞を用いたchemical hypoxia(2mM NaCN,無glucose,pH6.7)-reoxygenationより実験を行った. 虚血中の細胞内Ca^<2+>の制御に関して,細胞質Ca^<2+>の汲み上げと,放出を行う筋小胞体と細胞膜にあるNa^+-Ca^<2+>交換系が関与しているといわれている.今回の実験では,PKCを活性化した心筋細胞の筋小胞体をthapsigarginによって阻害したaPKC+thaps群と,Na^+-Ca^<2+>交換系をdichlorobenzamilによって阻害したaPKC+DCB群を設定して虚血/再灌流時の細胞内Ca^<2+>と細胞長の変化を測定した. この結果、aPKC+thaps群では細胞内Ca^<2+>・細胞長ともに前回の実験でPKCを活性化したのみの群と有意差がなくPKCの効果に対し影響はなかった.一方,aPKC+DCB群では細胞内Ca^<2+>は高値となり前回のPKCを活性化していない対照群と有意差がなく,再酸素化時に過収縮がみられたことからPKCの効果が消失する結果となった. 以上の結果より,活性化PKCの虚血時におけるCa^<2+>過負荷抑制機構には,筋小胞体の関与は否定的であったが,Na^+-Ca^<2+>交換系は重要な働きをしていることが推察された.
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