1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09671381
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐野 俊二 岡山大学, 医学部, 教授 (50235438)
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Keywords | 心停止ドナー / 心臓移植 / Emax |
Research Abstract |
(目的)本実験の目的は失血による心停止後60分を経過したドナーを心臓移植に利用する場合、移植に先立って心臓を再潅流する方法でどの程度心機能を回復させ得るかを検討することである。(対象と方法)7頭の雑種成犬の大腿動脈から瀉血し心停止としたのち心臓を60分間体内にて室温(25℃)で放置した。実験群(n=7)では心停止から60分後に心臓を摘出してLangendorff回路に類似した潅流装置に設置し、ハイドロキシラヂカルスカベンジャーであるEPCとウロキナーゼを含むsubstrate-enriched warm blood cardioplegia (WBCP)にて再潅流を行った。45分間の血液潅流をおこなった後UW液中に保存した。コントロール群(n=6)ではSt.Thomas液で心停止とした直後に心臓を摘出しUW液中に保存した。両群とも同所性に心移植を行い心機能評価を行った。(結果)コントロール群は全例体外循環を離脱し、移植後左室Emaxは心停止前に対し90.2±7.1%まで回復した。一方実験群では移植後Emaxは心停止前に対し68.7±7.7%までしか回復せず、また7例中1例は体外循環を離脱できなかった。(考察、結論)本実験により失血による心停止後60分を経過したドナー心でも、移植に先立って再潅流を行うことによって移植可能であることが示された。しかし健常な心臓と比べるとその機能は不十分であり、更に良好な心機能を保持するための再潅流法や保存法のが必要であると考えられた。
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