1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09671381
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐野 俊二 岡山大学, 医学部, 教授 (50235438)
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Keywords | 心停止ドナー / 移植 / 再潅流 / 心機能 |
Research Abstract |
本研究では心臓移植ドナープールの拡大のため、心停止ドナーからの心移植モデルにてその方法を検討している。用いたモデルは、雑種成犬を脱血死させたものでheparinを含む心停止前の投薬、いわゆるpretreatimentは行っていない。前年度の研究により、脱血死より60分間放置したgraftの中にも、体外に摘出したgraftをLangenndorff回路を順じた血液灌流装置にてradicat scavengerであるEPCを含むsubstrate-enriched warm blood cardioplegia(WBCP)を用い慎重に再灌流させることにより、移植後も移植前とほぼ同等の心収縮力を示すgraftが存在することが示された。本年度では同様のモデルを用い、保存・移植する前にgraftの機能を評価する試みを行った。この実験では、上記の血液灌流装置にて再灌流し自己心拍を回復したgraftに、回路内で徐々に前負荷を与えることにより心拍出を誘導し心機能評価を行った。この後、心停止液にて心停止とし保存・移植を行い、移植後の心機能評価を行った。この結果血液灌流装置内で80mmHgの後負荷に抗して拍出する心収縮力をもつgraftは、保存・移植後もcatecholamineの補助なしで体外循環から離脱し、移植後の心機能評価でも移植前値(心停止前)とほぼ同等の心収縮力を有していることが明らかになった。このモデルではgraftに対し2回の再灌流が必要となるがWBCPによる慎重な再灌流、EPCの添加により心筋虚血再灌流障害は軽度に抑えられたものと考えられた。本研究のモデルはDead on arrivalを想定したものであるが、移植前にgraftの心機能が評価可能であるということは臨床上大きな利点となりうると思われる。
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