1998 Fiscal Year Annual Research Report
肺移植における抗T cell receptor V β抗体による免疫抑制療法
Project/Area Number |
09671383
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Research Institution | The university of Tokushima |
Principal Investigator |
先山 正二 徳島大学, 医学部, 助手 (60291986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷田 信行 徳島大学, 医学部, 助手
近藤 和也 徳島大学, 医学部付属病院, 助手 (10263815)
門田 康正 徳島大学, 医学部, 教授 (60028628)
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Keywords | 肺移植 / ラット / TCR / TCRVbeta / 急性拒絶反応 / 慢性拒絶反応 / 免疫抑制 |
Research Abstract |
ラット肺移植モデルを用い急性拒絶反応時および慢性拒絶反応時の移植片浸潤リンパ球におけるTCR V βgeneの発現状況を検討した。近交系ラットBN(RT1^n)からLEW(RT1^1)への同所性肺移植モデルにおいては、移植後短期間のサイクロスポリン(CsA)の投与により移植肺は長期に生着するが、移植肺を組織学的に検討すると、移植肺の比較的太い気管支において、リンパ球浸潤を伴う気管支粘膜下の線維化や肉芽の形成を伴う気管支病変が認められる。また移植肺長期生着ラットのドナー抗原に対する免疫状態の検討では、レシピエントはアロ抗原反応性を有していることを示した。このことより我々は免疫抑制を施すこの系を、慢性拒絶反応の系と考えている。急性拒絶反応時の浸潤リンパ球においてはアイソグラフトでのそれと比較してVβ5およびVβ8の発現の増強が認められた。移植後30日の時点での慢性拒絶反応例においてはアイソグラフトのそれと比較してVβ9の発現増強が認められた。BNからLEWへの移植後30日目の移植肺においては、急性拒絶反応におけるvascular pahseに相当する細胞浸認められるが、その後の移植後6ヶ月までの観察では、その細胞浸潤は減少する。このことより、移植後30日目において増加するVβ9は、それ以後の細胞浸潤の抑制に関与している可能性が考えられる。 この様に移植肺に浸潤するリンパ球のVβのレパートリーは、レシピエントのドナー抗原に対する免疫状態により変化することが示唆されたが、Vβ抗体の作成自体は達成されていない。今後もVβ抗体の作成努力を継続したいと考えている。
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