1997 Fiscal Year Annual Research Report
ノックアウトマウスを用いた異種移植片拒絶反応機序の解析
Project/Area Number |
09671384
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
富田 幸裕 九州大学, 医学部, 助手 (90180174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸原 健二 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (80214774)
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Keywords | Discordant異種移植 / 抗原認識 / CD4 / CD8 |
Research Abstract |
(目的)我々は免疫学的により厳密な解析を行うべくノックアウトマウスをレシピエントに,我々がCABG手術時に患者の同意を得て採取したHuman大腿部のskinをドナーとしたdiscordant xenogeneic skin graft modelにおいて以下の2点を中心に検討を行った1)CD4^+T細胞が移植片拒絶のMain Effectorであるのか?2)CD4^+T細胞以外特にCD8^+T細胞が移植片を認識拒絶し得ないか。 (結果)human→mouseの組み合わせにて行った皮膚片生着の結果、Untreated B6マウスはHuman皮膚片を移植後14日以内に拒絶し、CD8^+T細胞の欠如したCD8 Knockout mouse(H-2^b;B6 background)においても同様に移植後14日以内に拒絶した。一方、CD4^+T細胞の欠如したCD4 Knockout mouse(H-2^b;B6 background)においては平均23.6日と明らかに生着延長が認められたが、最終的にはHuman皮膚移植片は拒絶された。また、アロ移植片であるC3H(H-2^k)皮膚片は、B6,CD8 knockout,CD4 knockout mouse共に移植後14日以内に拒絶された。以上より、非CD4 T細胞特にCD8^+T細胞がDiscordant異種移植抗原を認識しうる可能性が強く示唆された。またCD4 Knockoutマウスに非生理的に増加しているCD4^-8^-αβTCR^+細胞集団の皮膚片拒絶に関わる役割についても検討が必要と考えられた。次に、CD4ノックアウトマウスに抗CD8抗体を投与してCD8^+T細胞をdepleteし、Human皮膚片の生着延長効果を観察した。この結果、抗CD8抗体を投与することにより皮膚片は約9日間の生着延長効果が認められた。また移植10日後の脾細胞中のCP4^-8^-αβTCR^+細胞はactivationされていた。以上の結果から、Discordant異種移植抗原の認識・拒絶のmain effectorは報告されてきたようにCD4^+T細胞であること、CD8^+T細胞もDiscordant異種移植抗原の認識,拒絶をなし得る可能性があることが証明された。 (結論)1)Discordant異種移植抗原の認識・拒絶には主にCD4^+T細胞が関与する。2)CD8^+T細胞の関与は少ないものの、異種移植片を認識・拒絶可能である。 (考案)本研究においてはノックアウトマウスを用いたためDirect Evidenceを得ることが可能であったが、ノックアウトマウスに特有に観察される非生理的細胞が実際に拒絶にどう関与するかについては今後の検討を有すると考えられる。さらにCD4 knockoutマウスのbackgroundの違いにより違った結果が得られるのかについては今後の検討が必要である。
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