1997 Fiscal Year Annual Research Report
NO donor添加心筋保護液の冠動脈内皮細胞保護効果とその機序解明
Project/Area Number |
09671395
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
水野 朝敏 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60174033)
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Keywords | L-arginine / 内皮細胞 / nitric oxide |
Research Abstract |
現在使用されている心筋保護液は,心機能の保存においては,ほぼ満足できる状態ではありますが,冠動脈内皮細胞に対する保護効果は,かならずしも十分とはいえず,手術中,手術直後,さらには術後,遠隔期に冠動脈内皮細胞の障害に起因する心筋障害,冠動脈病変の進行などが少なからず認められています.従来行われている心筋細胞に対する保護とともに,冠動脈血管内皮細胞の保護をおこなうことは、心臓外科手術成績および遠隔期の成績を向上させる可能性があります。 言い替えれば、手術中の心筋障害が軽度であったとしても、血管内皮細胞が保護されずに傷害を受けると、血管内皮細胞からのNOの産生が低下し,相対的にendothelial contractile factor(EDCF)の働きが強められ,冠動脈はspasmを生じやすくなり,platelet,leukocyteが集積することにより冠動脈,バイパスグラフトが閉塞し,その結果として心筋障害を生じることになります.特に,このことは現在,臨床で一般的に行われている大動脈-冠動脈バイパス手術において,手術成績および遠隔期の成績を左右することになります. そこで現在までに1)心筋保護液にnitric oxide(NO)のdonor(L-arginine)を添加した時、血管内皮細胞からのnitric oxide(NO)の産生が増加することを確認。 2)心筋保護液にnitric oxide(NO)のdonorを添加した場合、従来、心筋保護液が持っていた保護効果に対する影響の検討。 3)虚血再潅流後、産生の増加したNOにより保護された血管内皮細胞により、冠動脈は拡張機能を保持しているかを確認。以上の3点に関し検討を行い良好な結果を得ました。 今後 4)NOはvascular toneを維持し,また血管内皮細胞へのplatelet,leukocyteの集積を抑制し、血管内皮細胞を保護する働きがある一方、心筋障害を生じるfreeradicalのsourceとなる可能性もあり,その至適濃度に関する検討を行っていく予定です。
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Research Products
(1 results)