1998 Fiscal Year Annual Research Report
肺ブラ・ブレブの発生・組織構築に関する病理組織学的検討
Project/Area Number |
09671399
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
小泉 潔 日本医科大学, 医学部, 助教授 (09671399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原口 秀司 防衛医科大学校, 第二外科, 助手 (80267202)
福田 悠 日本医科大学, 医学部, 助教授 (60097037)
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Keywords | 肺ブレブ / MMP / TIMP / α1-antitrypsin / 弾性線維障害 / 筋線維芽細胞 / 線維化 |
Research Abstract |
ブレブは胸膜内へ気腔を形成し、ブレブ壁と基底部で構成されている。ブレブ壁の弾性線維は不連続か消失し、膠原線維沈着が著明である。基底部の肺胞部にはエラストーシスを伴う器質化巣を持つ。病変内の異常弾性線維のみがα1-antitrypsin陽性を示し、周囲正常肺の弾性線維は陰性である。 今回、ブレブ10例をHE染色、elastica-Masson染色、酵素抗体ABC法では、matrix metalloproteinase(MMP)、tissue inhibitor of MP(TIMP)、α平滑筋アクチン、ccllular fibronectin、I、III、collagen、elastin、α1-antitrypsinを染色し光顕で観察した。 MMP-1、MMP-2、MMP-9、TIMP-2はブレブ壁の線維化巣、基底部の器質化巣内の線維芽細胞に認めた。その他、マクロファージ、気管支・肺胞上皮も陽性であった。基底部の器質化巣内の線維芽細胞と比較すると、ブレブ壁内の線維芽細胞は大型で、有意にTIMP-2は陽性を示し、cellular fibronectin、I、III collagenの沈着をみた。この大型の線維芽細胞は、α平滑筋アクチン陽性で筋線維芽細胞と判明した。 また、病変部の異常弾性線維はα1-antitrypsin陽性であるが、MMP-1、MMP-2、MMP-9、TIMP-2は陰性であり、ブレブの発生は、前回の報告の通り、局所の炎症によりエラスターゼとα1アンチトリプシンとの間に不均衡が生じ、弾性線維が障害されることが原因と考えた。また、MMP-1、MMP-2、MMP-9、TIMP-2は、線維化に関与するが、ブレブ壁での盛んな線維化にもかかわらず弾性線維破壊がブレブ気腔を拡大させる原因と考えた。
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