1997 Fiscal Year Annual Research Report
肺気腫に対する外科的治療の適応決定と各種治療法の比較研究
Project/Area Number |
09671402
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
岩崎 昭憲 福岡大学, 医学部, 講師 (50248506)
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Keywords | 肺気腫 / Volume reduction / 胸腔鏡手術 / 胸骨正中切開 |
Research Abstract |
肺気腫に対する外科治療法のなかで主に胸腔鏡によるVolume reduction法(VRS)と胸骨正中切開によるVRS法を比較検討した. 手術適応基準((1)Flecher Hugh Jones III以上の呼吸困難が強く内科的治療にもかかわらず日常生活が支障されているものを(2)画像所見で胸部CT,換気・血流シンチで不均等な気腫性変化がみられるもの)を満たしたものを対象にし、80才以上の症例、著しい高CO2血症、強い癒着や開胸歴が存在した場合は非適応とした。手術施行54例(胸骨正中法14例と片側胸腔鏡手術23例、両側一期的胸腔鏡手術17例)を対象とした。術前術後検査は画像診断に胸部X線、胸部CT、肺換気シンチグラム、血流シンチグラムを中心に行い、機能検査はスパイロメトリーや、血液ガス分析、運動負荷試験や心機能評価のためEKG,ECG,心カテをおこなった。 1)各術式で呼吸困難感(H-J)の低下に伴いVC、FVCの増加、TLC、RV、FRCの減少が得られることがわかった。特に術後一秒量の改善では術前と比較し片側胸腔鏡VRSは27.5%、両側胸腔鏡VRSは60.5%、胸骨正中切開VRSは54.9%とほぼ両側手術例は2倍の改善を示した。切除組織量の比較では、両側胸腔鏡と胸骨正中切開法はほぼ同程度の切除が行われていた. 2)出血量や術後疼痛は胸腔鏡手術が最も少なく、胸骨正中切開法が多かった(P<0.01)。患者に対する負担は胸腔鏡手術が優れていた。 3)合併症では各手法間に有意な差は認められず、両側胸腔鏡VRSは胸骨正中切開VRSと比較しても十分な効果が得られ、侵襲が少ない効果的な方法であることが示唆された。 4)VRS術後に一回心拍出量が増加し全肺血管抵抗が減少する症例が認められたことより、肺気腫患者の循環動態をも改善させる有効な治療であることが推測された。
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