1997 Fiscal Year Annual Research Report
p53に対する特異的細胞傷害性T細胞を利用した肺癌の治療法の開発
Project/Area Number |
09671403
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
光富 徹哉 愛知県がんセンター, 研究所, 研究員 (70209807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 利忠 愛知県がんセンター, 免疫学部, 部長 (00124529)
高橋 隆 愛知県がんセンター, 超微形態学部, 部長 (50231395)
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Keywords | p53 / 細胞傷害性T細胞 / 肺癌 / 免疫療法 / 抗体 / ELISA |
Research Abstract |
1 肺がん患者におけるp53に対する自己抗体の検出とその臨床的意義 非小細胞肺癌患者において、血清中の腫瘍抑制遺伝子産物p53に対する自己抗体を検出し、その意義について検討した。 「対象と方法」188例の切除肺癌症例を対照とした。抗原決定基になりやすいとされている4つの20-30merのペプチド(アミノ酸残基11-39、40-63、340-370、361-385)を抗原とした。これに対する血清中自己抗体を抗ヒトIgGを二次抗体とするELISA法によって検出し、正常人検体84例における吸光度の平均+2SDをカットオフ値とした。また、原発巣におけるp53異常の検出はDO-7を用いた免疫組織染色によった。 「結果」p53に対する抗体は、肺癌188例中34例(20%)に認められた。組織型では扁平上皮癌に、病期ではIII-IV期に高頻度であった(p=0.0495および0.0079)。原発巣でのp53蛋白の異常蓄積は87例に認めた。p53異常例での抗体陽性率28%(24/87)はp53正常例におけるそれ(14%、14/101)より高頻度であった(p=0.0195)。術前p53自己抗体陽性23例の術後検体における抗体価の推移を検討した。手術後殆どの患者の抗体価は減少したが、再発と抗体価の推移に一定した関係は認めなかった。また、p53抗体の有無と予後の間には関連はなかった(p=0.2816)。しかしながら、N末端側のペプチドに対する抗体を有する患者13名は有意に予後不良であった(p=0.0201)。 「考察」血清中p53自己抗体は予後因子や再発予知のためのマーカーとしての意義は低いが、宿主の免疫状態などを反映している可能性があり、臨床的意義の確立のためには、更なる検討が必要である。 2 p53特異的細胞傷害性T細胞の誘導 HLA A2結合能が高いことが知られているp53ペプチド149-157 STPPPGTRV、または264-272LLGRNSFEVに対する健常者末血由来のCTLを分離する実験を開始した。
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