1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09671406
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
坪井 康次 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (90188615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 興一 放射線医学, 総合研究所, ユニットリーダー (00159526)
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Keywords | Glioma / Heavy Ion / High LET / p53 / DNA-PK |
Research Abstract |
【目的】膠芽腫細胞の重粒子線に対する感受性はDNA修復関連遺伝子発現に大きく影響される。これまでp53の発現が膠芽腫細胞の放射線感受性にかかわっているとされてきたが、重粒子線照射後のp53とその下流に位置するp21の発現の変化についての詳細な報告はなかった。また最近、DNA2本鎖切断修復に関連するDNA dependent protein kinase(DNA-PK)の役割りが明らかにされ注目を集めている。そこで今年度においては膠芽腫細胞において重粒子線照射後のp53、p21の発現を明らかにするとともに、DNA-PKを構成する3つのsub-unitであるDNA-PKcs,Ku86,Ku70の発現の変化を解析した。【対象、方法】p53野生膠芽腫細胞株(U87MG)、変異膠芽腫細胞株株(TK-1)正常線維芽細胞(NB1RGB)を対象とした。γ線または290MeV/uの炭素粒子線を用い、照射前と、照射後1日、4日、7日、10日後に蛋白を抽出して、p53,p21,DNA-PKの発現の変化をImmuno-blotにて解析した。使用した炭素線のLETは10、20、40、80KeV/μmである。また線量は全て10Gyの単線量を用いた。【結果】p53,p21の発現を解析すると、変異株であるTK-1ではいずれのLETにおいても、照射前後でほぼ一定して変異型p53が高発現しておりp21の発現はほとんど認められなかったが、野生型のU87MGでは、照射後1日目には発現が亢進し、LETが上昇するにつれてしだいに減少した。また、p21の発現もほぼ同様な傾向であった。NB1RGBでも照射後にp53とp21の発現亢進が認められたが、LETが上昇するにつれて発現は逆に長引く傾向を示した。一方、TK-1ではDNA-PKcsが高発現しており、照射後しだいに減少したが、Ku86、Ku70の発現には経時的変化はなかった。それに対してU87MG、NB1RGBではDNA-PKcsの発現はあまり高くなく照射後の経時的変化もほとんどなかった。【結論】1)p53野生型の膠芽腫細胞ではLETが高くなるにつれて照射後のp53とp21の発現が減少したが、線維芽細胞ではこれらの発現は持続した。2)p53変異株ではDNA-PKの発現が野生株より高く、放射線照射後その発現は経時的に減少したが、野生株では変化しなかった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Tsuboi K et al: "Cell death induced by High-LET Carbon Beams in Human Glioblastoma Cell Lines"Brain Tumoy Pathology. 15. 71-16 (1999)
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[Publications] 坪井 康次 その他: "膵芽腫の修復遺伝発現と炭素線感受性に関する研究"平成10年度重粒子がん治療装置等共同利用研究報告. 138-141 (1999)
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[Publications] Tsurushima et al: "Reduction of end-stage malghant glioma by injection of autologous cytotoxic T-eymphocyte"Jpn J Cancer Res. 90. 536-545 (1999)
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[Publications] 神経膵芽腫の重粒子線感受性: "重粒子線治療の基礎と臨床"放射線医学総合研究所(医療科学社). (1999)