1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09671414
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
長沼 博文 山梨医科大学, 医学部, 講師 (90189142)
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Keywords | 悪性グリオーマ / 免疫抑制 / transforming growth factor-β / 単球 / トロンポスポンジン |
Research Abstract |
1.悪性グリオーマ細胞由来因子が末梢血単球の機能に及ぼす影響の解明。 悪性glioma細胞の産生するcytokineが単球のB7-1(CD80)、B7-2(CD86)分子及びMHC class I、IIの発現に及ぼす影響を検討した。末梢血より分離した単球をglioblastoma培養上清で処理すると、B7-1、B7-2分子ともに増加し、GM-CSFと同じpatternであり、この増加は抗GM-CSF抗体により中和された。単球のMHC class I分子の発現は、glioblastoma培養上清処理により減少した。flow cytometerによる分析で、glioma細胞はGM-CSF及びIL-10を産生していた。glioblastontaの産生するcytokineは単球のB7-1、B7-2分子発現を増加させる一方、MHC class I分子の発現を抑制した。B7-1、B7-2分子発現の増強はGM-CSFによると考えられた。glioblaslioma細胞は単球の抗原提示機能に影響を及ぼす可能性があると考えられるが、総体的な影響については今後の解析が必要である。 2.悪性glioma細胞が産生するTGF-βの活性化機序におけるthrombospondinl(TSP1)の関与の解明。 1)TSP1のTGF-β活性化部位と同じ配列の合成peptideをウサギに免疫し特異的なpolyclonal抗体の作成を行い、抗TSP1抗体の特異性はWestern blottingで確認した。flow cytometerを用いてglioma細胞内のTSP1発現を確認した。又、この抗TSP1抗体がin vitroでglioma細胞由来TGF-βの活性化を中和するかどうかをELISAを用いて検討し、抗TSP1抗体の中和活性能を確認した。この抗体を用いたglioblasitoma組織での免疫組織学的検討では、腫瘍細胞に陽性所見が認められた。 2)悪性glioma細胞株でのTSP mRNAの発現をRT-PCR法を用いて検討したところ、悪性glioma細胞はTSP1及びTSP2 mRNAを発現していた。 これらの結果から、悪性glioma細胞の産生するTSP1がTGF-βの活性化に関与することが示された。今後は、さらに多くの悪性glioma組織でのTSP1の発現の程度及び分布を免疫組織学的に検索する予定である。
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