1997 Fiscal Year Annual Research Report
悪性脳腫瘍の選択的化学療法への薬理遺伝学的アプローチ
Project/Area Number |
09671428
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鈴木 友和 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (20028517)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 照明 大分医科大学, 医学部, 助教授 (60124632)
鈴木 康代 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (90226564)
阿部 眞佐子 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (30222665)
|
Keywords | 薬理遺伝学 / 脳腫瘍 / 化学療法 / MGMT / 遺伝的多型性 / 遺伝子型タイピング / DNA修復酵素 |
Research Abstract |
我々は先にアレキル化剤により誘発される突然変異を抑制する酵素、O^6-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼ(MGMT)に遺伝子多型が存在することを見い出した。本研究では薬理遺伝学的観点からMGMT多型に基づく悪性脳腫瘍の選択的化学療法の開発を目的とし、まず簡便迅速なMGMT多型遺伝子型タイピング法を開発した。すなわ末梢血から抽出したゲノムDNAを鋳型にしてMGMT遺伝子のエキソン3をPCRにより増幅し、その産物を2種類の制限酵素で消化したあと電気泳動を行い、野生型遺伝子(W)、変異対立遺伝子V1(Leu 84 Phe)とV2(Trp 65 Cys)を識別することができた。ついで神経膠腫28症例(多形膠茅腫14例、星状細胞腫+退形成星状細胞腫14例)の手術後に化学療法を実施し、その治療成績と上記の方法でタイピングしたMGMT多型遺伝子型との関連を検討した。化学療法により部分寛解がみられたのは3例で、その遺伝子型はW/V1 2例、W/V21例であった。また不変17例の遺伝子型はW/V1 5例、W/W 12例、さらに悪化8例の遺伝子型はW/V1 1例、W/W 7例であった。この結果は変異対立遺伝子を含む遺伝子型の症例ほど化学療法の成績がよい傾向にあることを示唆している。次年度はさらに症例を増やし、検討を進める予定である。
|