1998 Fiscal Year Annual Research Report
悪性脳腫瘍の選択的化学療法への薬理遺伝学的アプローチ
Project/Area Number |
09671428
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Research Institution | Oita medical university |
Principal Investigator |
森 照明 大分医科大学, 医学部, 助教授 (60124632)
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Keywords | 薬理遺伝学 / 脳腫瘍 / 化学療法 / MGMT / 遺伝的多型 / 遺伝子型タイピング / DNA修復酵素 |
Research Abstract |
すでに報告したように、アルキル化剤により誘発される突然変異を抑制する酵素、O^6-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼ(MGMT)には変異対立遺伝子V1(Leu84Phe),V2(Trp65Cys)が存在し、また、簡便迅速なMGMT多型遺伝子型タイピング法を開発した。そして脳腫瘍におけるMGMT多型のタイピングをおこなったところ、野生型遺伝子(W)と変異対立遺伝子V1とのheterozygoteが統計学的に有意に神経膠芽腫群に多くみられた。また、これら多型が悪性脳腫瘍の化学療法にどのように影響を与えるかを検討すべく、化学療法を施行し、治療効果判定可能であった神経膠腫28症例(多形膠芽腫14例、星状細胞腫+退形成性星状細胞腫14例)を検討した。治療効果としては、昨年の報告書で述べたように治療に反応したものは変異対立遺伝子を含んだ遺伝子型の3症例であった。これらの症例の腫瘍組織におけるMGMTの発現を、anti-human MGMT polyclonal antibodyを用いて免疫組織化学的に検討した。しかし、治療に反応しなかった症例との間に明らかに染色性の差はみられず、化学療法への反応性へのMGMTの関与は示唆されなかった。しかしながら、組織から抽出した蛋白をもちいての活性測定の必要性はあると思われた。
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