1998 Fiscal Year Annual Research Report
人工脳脊髄液潅流による急性期脊髄損傷治療の基礎的研究
Project/Area Number |
09671463
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Research Institution | ASAHIKAWA MEDICAL COLLEGE |
Principal Investigator |
佐藤 雅規 旭川医科大学, 医学部, 助手 (40281886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熱田 裕司 旭川医科大学, 医学部, 講師 (90167924)
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Keywords | 脊髄損傷 / 脊髄誘発電位 / 人工脳脊髄液 / 二次変性 / 酸素 / ヒアルロン酸 |
Research Abstract |
Wister系雄ラット30匹を麻酔、非動化後、気管切開し呼吸器管理とした。中部胸椎レベルで2〜3椎弓切除し、同部で硬膜切開も加え、フレームに固定した。術野頭尾側にカテーテル電極を挿入し、脊髄刺激・脊髄導出による下行性脊髄誘発電位(SCEP)を測定した。刺激幅50μ秒、頻度0.5〜1Hzの最大上刺激を行い、SCEP第1電位を指標に解析した。脊髄損傷モデルは、合成樹脂を加工した球形圧迫子を取り付けたmicromanipulatorで、硬膜切開部の脊髄背側を、正中垂直方向に分速0.6mmの低速で圧迫して作成した。その際SCEP第1電位の振幅が受傷前の50%以下になった時点で圧迫進行を停止し、そのまま1時間圧迫した。また、潅流液は手術部位をChamberとして用い、37℃に加温して毎分1cc程度で潅流させた。ラットを各10匹ずつヒアルロン酸(HA)群、PBS群、対照群の3群に分けた。HA群はリン酸緩衝液(PBS)に0.4%HA(80-90万MW)を含んだ潅流液を用い、PBS群はHAを含まないPBSを用いた。HA群、PBS群とも硬膜切開部位をchamberとし、37℃に加温した潅流液(毎分1ml)で、局所脊髄潅流を行った。潅流は、脊髄圧迫によりSCEP振幅が圧迫前の50%以下になった時点から開始し、圧迫解除後3時間まで継続した。対照群は、脊髄が乾燥しないように注意して経過観察のみを行い、全群圧迫前から圧迫解除後3時間までSCEPを記録した各群とも1時間の圧迫を解除する時点で振幅がほぼ消失していた。対照群では圧迫解除後1時間でやや振幅が回復したが、その後次第に減少している。PBS群、HA群で1よ、圧迫解除後1時間で回復した振幅が、その後減少せずに維持され、HA群の方が振幅の回復が大きい傾向を示した。圧迫解除後1時間で、HA群は他群に比べて有意に振幅が大きく、圧迫解除後2時間、3時間では、HA群、PBS群とも対照群に比べて有意に振幅が大きかった。また、HA群とPBS群の振幅を比較するとHA群の方が振幅の回復が大きかった。
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[Publications] 佐藤雅規、他: "頚髄症に対するPGE1と電気生理学的指標を用いた術後予後予測の試み" 東日本整災会誌. 10. 17-21 (1998)
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[Publications] 小林徹也、他: "急性脊髄損傷に対するヒアルロン酸を用いた脊髄潅流の効果" 日本パラプレジア医学会雑誌. 11. 76-77 (1998)
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[Publications] 島崎俊司、他: "ヒアルロン酸ナトリウムが知覚神経週末に及ぼす機能的影響" 臨床リウマチ. 10. 91-95 (1998)
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[Publications] 佐藤雅規、他: "実験的脊髄損傷においてPGE1-αCDが運動誘発電位に及ぼす効果" 現代医療. 30. 153-158 (1998)