骨軟部腫瘍の吸引細胞診における術前遺伝子診断-in situ hybridization,in situ PCRを用いての検討-

1997 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09671476
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
• Research Institution: Niigata University
• Principal Investigator: 堀田 哲夫 新潟大学, 医学部, 助手 (00272815)
• Keywords: in situ hybridization法 / in situ PCR / 培養細胞 / 骨軟部腫瘍 / 吸引細胞診

Research Abstract

1.骨軟部腫瘍の吸引細胞診における標的因子の解析
我々はこれまでに、骨軟部腫瘍のうち骨肉腫と悪性線維性組織球腫について、その組織由来について検討してきた。一般的に腫瘍組織中には、腫瘍細胞のみでなく宿主由来の血管内皮細胞、線維芽細胞やマクロファージをはじめとする血球由来の細胞が混在している。骨軟部腫瘍は間葉系由来であるため、従来、腫瘍細胞と宿主由来の反応性に出現する間葉系の細胞とを明確に鑑別することは困難を伴うことが多かった。また、吸引細胞診では、組織の構築が失われており、細胞一個一個の解析が必要なため診断には熟練を要した。今回、我々はヒト培養細胞の異種移植モデルにおいて非放射性同位元素のジゴキシゲニンを用いたin situ hybridization法により、骨軟部腫瘍由来の腫瘍細胞と宿主由来の反応性細胞を細胞レベルで明確に区別する方法を確立した。通常の研究室で簡便に行うことができ、細胞一個一個のレベルまで判定できるこの手法は、吸引細胞診断に画期的な変革をもたらすものと考えられる。今回得られた情報をもとに、臨床症例の吸引細胞診における細胞由来判定の指標となるような腫瘍特異的遺伝子を解析中である。また、骨肉腫、悪性線維性組織球腫以外の骨軟部腫瘍についても同様に組織由来、腫瘍特異的遺伝子について解析中である。
2.吸引細胞診における in situ hybridization、in situ PCRの手技の確立
ユ-イング肉腫には遺伝子の特異的な転座があることが知られている。我々はユ-イング肉腫から樹立された細胞株をヌードマウス皮下に移植し、ユ-イング肉腫の腫瘍モデルを作製した。この腫瘍モデルから吸引採取した細胞のmRNA,DNAの至適保存条件、また、in situ PCRに最適の標本作製方法について検討中である。これらのモデル実験をもとに臨床例への応用を検討している。

Research Products

• [Publications] 畠野 宏史: "悪性線維性組織球腫の組織球の由来〜in situ hybridizationを用いて〜" 日本整形外科学会雑誌. 71(6). S1070- (1997)
• [Publications] 畠野 宏史: "ヒト骨肉腫における骨形成細胞の起源-腫瘍性骨形成か反応性骨形成か?-" 日本整形外科学会雑誌. 71(8). S1372- (1997)
• [Publications] Hiroshi Hatano: "The mechanism of bone formation in human osteosarcoma analyzed by in situ hybridization" Transactions of the 43rd Annual Meeting Orthopaedic Research Society. 22. 319- (1997)
• [Publications] Hiroshi Hatano: "Expression of CBFA1 gene in human malignant tumors." Transactions of the 43rd Annual Meeting Orthopaedic Research Society. 23(in press). (1998)
• [Publications] Hiroshi Hatano: "Histocyte-like cells in human malignant fibrous histiocytoma are reactive monocyte/macrophage lineage" Transactions of the 43rd Annual Meeting Orthopaedic Research Society. 23(in press). (1998)