1997 Fiscal Year Annual Research Report
骨折修復部の非破壊試験による力学特性評価に関する研究
Project/Area Number |
09671482
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
中土 幸男 信州大学, 医学部, 助教授 (80115360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森泉 哲次 信州大学, 医学部, 教授 (70157874)
野村 彰夫 信州大学, 工学部情報工学科, 教授 (00115362)
斉藤 覚 信州大学, 医学部附属病院, 講師 (20175350)
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Keywords | 超音波顕微鏡 / 骨組織 / 骨単位 / 音速 / 異方性 / 骨折治癒 |
Research Abstract |
1)超音波顕微鏡による正常骨組織試験片の計測 前処置としてテトラサイクリンによる二重骨標識を行ったビ-グル犬脛骨骨幹部の骨試料を切り出し,自動精密切断機にて厚さ200umの横断切片と500umの縦断切片を作成した.低温包埋剤で樹脂包埋,真空含侵後、試料表面を紙やすりおよびダイヤモンド琢磨布で鏡面化した.骨組織の力学的特性分布を知る目的で,日立建機社製の超音波顕微鏡HSAMを使用し、皮質骨中の骨単位の音速分布を観察した.超音波顕微鏡はHSAM210(日立建機社製)を使用し,最大周波数200MHzで観察した.蛍光顕微鏡像では,骨単位の中心管とその周囲にテトラサイクリンによる蛍光領域が横断像と縦断像で観察され,骨が新生されたことを示していた.横断面の超音波顕微鏡像で骨単位の音速を測定した結果,中心管近傍の新生骨部で約2000m/s,その遠位部の既成骨部で2200〜2500m/sであった.すなわち,骨単位の新生骨部と既成骨部で音速の相違があることがわかった.次に,超音波顕微鏡にスリットレンズを装着して,組織の異方性を観察した.その結果,骨単位の横断面では異方性がみられなかったが,縦断面では骨単位の既成骨部の音速は脛骨の長軸方向で4500m/sと高く,それに比べその直角方向では3600m/sと低かった.すなわち骨単位の荷重方向は高音速を示し,強度も高いと言える.現在,同じ標本を超微小硬度計で計測して音速とヤング率との相関を調べる予定にしている. 2)骨折治癒組織の力学的特性分布の観察 ビ-グル犬の脛骨に作成した骨折を,術後12週目に屠殺し組織学的検査および超音波顕微鏡観察を行った。現在,骨癒合過程で出現する各組織の音速測定を実施中である.
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