1998 Fiscal Year Annual Research Report
人工関節のaceptic looseningの病態及び治療に関する研究-生体内摩耗粉の生物学的活性・副甲状腺関連ペプタイド(PTHrP)の病理的役割及びビスフォスフォネートの治療効果について
Project/Area Number |
09671488
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
飯田 寛和 京都大学, 医学研究科, 助教授 (60176047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滋野 長平 京都大学, 医学研究科, 助手 (30170864)
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Keywords | PTHrP / 人工関節 / 骨吸収 / aseptic loosening / ポリエチレン |
Research Abstract |
これまでの本研究からaseptic looseningを生じた人工関節の置換時に採取された関節液中のPTHrPが通常の血中濃度の10から100倍の濃度で認められること、また、骨吸収に関与していると思われる偽滑膜様組織が抗PTHrP抗体で陽性に染まることが判明した。PTHrPが本来、骨吸収を促す作用があることを考慮すると、人工関節のlooseningとそれに伴った骨融解に関与していることが考えられる。これらの研究結果を踏まえて、本年度はPTHrPを誘導する因子を検索する実験を予定した。人工関節のlooseningにともなった骨吸収に関与する因子は多数考えられるが、今日、最も大きな要因としてはポリエチレンの磨耗粉が指摘されており、この面から検索を行うこととした。しかし、人工関節磨耗粉中のポリエチレンは工学的に粉砕したものと性状が異なっていることが指摘されており、生体中で作られた磨耗粉を直接使った実験を計画し、まず、人工関節再置換時に取り出した、偽滑膜様組織から、ポリエチレン粉末の抽出を行った。様々な方法を試みたのち、ポリエチレンが化学的に安定なことを利用して、取り出した組織をまずキシレンに浸し、PMMAを溶かした後、硝酸と塩酸に順次溶解して、溶解液を中和後、フィルターをかけ、フィルター上にポリエチレンを集める方法がシンプルで効率よくポリエチレンを回収できた。集めたポリエチレンを走査電顕で観察すると線状のものや球状のものが観察され、長さのサイズは前者が平均5.3ミクロン、後者が平均0.2ミクロンであった。さらに、これらの抽出ポリエチレンを呑食したマクロファージが刺激されPTHrPを産生するかを検索する予定であったが、置換症例が少なく、十分な抽出サンプルが取れず現在、ポリエチレンの収集を行っている段階である。
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[Publications] 飯田 寛和: "人工骨を用いたソケットの再置換術" Monthly Book Orthopaedics. 11 (3). 19-24 (1998)
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[Publications] K.Kawanabe: "A-W glass ceramic as a bone substitute in cemented hip arthroplasty" Acta.Orthop.Scand. 69 (3). 237-242 (1998)