1997 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子導入と白血病抑制因子(LIF)ノックアウトマウスによる実験系の確立
Project/Area Number |
09671502
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
藤井 徹 長崎大学, 医学部, 教授 (60136661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋田 定伯 長崎大学, 医学部附属病院, 医員
山野辺 裕二 長崎大学, 医学部附属病院, 助手 (40284690)
平野 明喜 長崎大学, 医学部, 助教授 (90208835)
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Keywords | 創傷治癒 / 白血病抑制因子(LIF) / 動物モデル / 情報伝達 |
Research Abstract |
創傷治癒過程における、白血病抑制因子(LIF)の発現、役割について研究を行なった。トランスジェニックマウスモデルを用い、下垂体に特異的に発現されたLIFは、下垂体成長ホルモン産生細胞のRathke′s嚢への形質転換を引き起こし、成長ホルモンの減少化とIGF-1の低下を来した。更に、下垂体での燐酸化CREB発現の著明な減少も見られ、転写因子の関与を伺わせた。また、個体全般では低成長、低体重を認め、局所のペプチドの過剰発現が形質に多大な影響を与え得ることが確認された。次に、成長ホルモン産生腫瘍株(GH3)のラットヘの注入実験では、全身性に過成長を認め、末端肥大症様の頭蓋骨変化を来した。即ち、下顎骨頭部の過成長、頭蓋冠の肥厚を認めた。これら下顎骨、頭蓋骨のin situ hybridization法によるLIFの発現実験では、頭蓋骨類骨部、下顎骨骨頭軟骨移行部での有意なシグナル増加を認めた。以上より、骨代謝とLIFが局所において相関することが判った。更に、ラット背側皮弁を用いたLIFの添加実験では、ゲルフォームを用いた徐放性基剤から放出によって対照群よりもむしろ皮弁生存を悪化させる結果であった。これは、皮膚軟部組織では、臨床的に乾癬などの炎症疾患にLIFがよく相関することに対比し、局所での炎症性反応を引き起こしたと考えられる。皮弁延長に効果のあるbFGFを用いた、LIFとの混合群、bFGF単独群との比較では、混合群が、対照群と同程度の皮弁効果を示し、bFGFとLIFは異なる情報伝達経路を介すことが皮弁実験でも示された。また、悪性黒色腫を初めとする軟部悪性腫瘍では、病期によって、腫瘍の悪性度によってLIFの血中値が相関することが示され、また、急性広範囲熱傷では予後に相関することが示され、今後の更なるin vitro実験へ興味を引き継がせた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Akita S.,et.al: "Pituitary-directed leukemia inhibitory factor transgene forms Rathke's cleft cysts and impairs adult pituitary function." J Clin Invest. 99. 2462-2469 (1997)
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[Publications] Kondo K.,Tanaka K.,Fujii T.,and Akita S.: "Klippel-Trenaunay-Weber syndrome associated with intra-abdominal lymphangioma requiring multiple surgical intervention." Ann Plas Surg. 39(4). 435-437 (1997)
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[Publications] Tohru Fujii, et al.: "Maxillary growth following atelocollagen implantation on mucoperiosteal denudation of palatal process in young rabbits considering of clinical cleft palate repair." Cleft Palate-Craniofacial journal. 34(4). 297-308 (1997)
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[Publications] Fujii Tohru, et al.: "Migration of Hydroxyapatite Onlays into the Mandible and Nasal Bone and Local Bone Turnover in Growing Rabbits." Plastic & Reconstructive Surgery.99(7). 1972-1982 (1997)
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[Publications] 平野 明喜et. al.: "頭蓋底・上部頚椎の腫瘍に対する上下顎正中分割によるアプローチ" 形成外科. 40・10. 991-996 (1997)
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[Publications] 平野 明喜: "顔面骨の骨切り術" 形成外科. 40. 59-69 (1997)