1997 Fiscal Year Annual Research Report
骨折治癒過程におけるアクチビンの発現とその役割-免疫組織学的検討-
Project/Area Number |
09671504
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
酒匂 崇 鹿児島大学, 医学部, 教授 (10041295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 俊二 鹿児島大学, 医学部, 講師 (90229500)
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Keywords | 骨折治癒 / activin / activin receptors / follistatin |
Research Abstract |
(目的)骨折モデルを用いて、骨・軟骨形成におけるactivinと、activinと特異的に結合するfollistatinの役割を検討した。 (方法)生後14週のウィスターラットの大腿骨に骨折を作成し、3、7、14、28日後にホルマリン液で灌流固定後、骨折部を摘出した。それらの組織を脱灰後、包埋し、切片を作成した。 各々の切片をH.E.染色、アルシアンブルー染色、コッサ染色、酒石酸抵抗性酸フォスファターゼ染色し、組織学的観察を行った。さらactivin、activin receptors、follistatinの発現を免疫組織学的に観察した。 (結果)組織学的には骨折治癒過程で膜性骨化と内軟骨性骨化がおこり、最終的に骨改変が認められた。 免疫組織学的には以下のことが観察された。 膜性骨化部では、初期の骨膜で軽度のactivin、そしてすべてのactivin receptors、follistatinの発現が認められた。新生骨部ではactivin、activin receptors、follistatinの発現が認められ、さらに骨改変部の破骨細胞でactivinの発現が強く認められた。内軟骨生骨化部では、軟骨細胞ですべてのactivin receptors、follistatinの発現が認められたが、activinはほとんど認められなかった。 (考察)膜性骨化部ではactivinはactivin receptorsを介して作用する可能性が示唆され、内軟骨性骨化部ではactivin以外のリガンドがactivin receptorsを介して作用すると考えられる。またactivinは骨改変を調節することも示唆される。follistatinはactivinの作用を調節し、特に軟骨細胞の分化においてfollistatinはactivinの作用を阻害すると考えられる。以上のことよりactivinとfollistatinが骨・軟骨形成、骨改変において重要な役割をすることが示唆されたと思われる。
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