1997 Fiscal Year Annual Research Report
椎間板および後縦靭帯における感覚受容器の電気生理学的研究
Project/Area Number |
09671507
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
山下 敏彦 札幌医科大学, 医学部, 講師 (70244366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横串 算敏 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (20145593)
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Keywords | 仙腸関節 / 腰痛 / 侵害受容器 / 固有感覚受容器 / 電気生理学 / 機械的感覚受容器 |
Research Abstract |
腰痛の主要な発生源の一つとされている仙腸関節および周囲組織の感覚受容器の電気生理学的検索を行った。実験には、雄の成熟ネコを用いた。腰椎に椎弓切除術を施行し、細胞外電極法により後根線維から求心性電位を記録した。下肢からの電位を除外するために坐骨神経を切断した。仙腸関節とその周囲組織をグラスプローブを用いて機械的に刺激し感覚受容野を検索した。受容野を同定した後、Semmes-Weinstein Monofilamentを用いて機械的閾値を決定した。さらに受容野を電気的に刺激し、支配神経の伝導速度を測定した。 仙腸関節と周囲組織に計20個の感覚受容器が同定された。このうち、17個は仙腸関節後方の靭帯組織に、3個が関節の周囲筋に認められた。受容器は関節の頭側部に多く分布していた。感覚受容器の支配神経の伝導速度は平均8.2m/secで、全ての受容器がIII群神経線維により支配されていた。感覚受容器の機械的閾値は平均69.5gであった。20個中、19個が7g以上の高閾値を有し、7g以下の低閾値受容器は1個のみであった。 本研究の結果より、仙腸関節とその周囲組織には侵害受容器が多く分布していることが示され、仙腸関節が腰痛の発生源であることが支持された。一方、仙腸関節に固有感覚受容器の密度が低いことは、仙腸関節が動きに乏しいことに関連しているものと思われた。 椎間板および後縦靭帯は、脊髄や神経根などの神経組織に接しているため、感覚受容器の同定が従来の実験システムでは十分に行えない。このため現在実験システムの改良を行い、更なる検索を遂行中である。
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