1999 Fiscal Year Annual Research Report
変形性膝関節症の神経生理学的病態の解明と薬物療法の開発
Project/Area Number |
09671509
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
斎藤 知行 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (30170517)
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Keywords | 変形性膝関節症 / 滑膜 / 神経原性関節炎 / サブスタンスP / 動物モデル / 炎症 |
Research Abstract |
1)変形性膝関節症滑膜浸潤細胞の質的評価 内側滑膜標本を19例21膝関節から採取した。11標本はII型collagen抗体、貧食能亢進の指標であるCD68抗体を用いて免疫組織化学染色を行った。他の10標本は凍結標本とし、CD2、CD4、CD8、CD15、CD19、CD25、HLA-DR、CD1aの各リンパ球表面抗原とmacrophageに対する抗体を用いて滑膜浸潤細胞の同定を行った。滑膜表層細胞層には周囲にCD68陽性細胞の集族するII型collagen陽性変性軟骨磨耗片を認めた。浸潤細胞ではCD4とHLA-DR陽性細胞が大部分を占め、滑膜炎症にはmacrophage-helper T-cell interactionの免疫応答の関与を示唆した。 2)変形性膝関節症動物モデルにおける神経系の影響 家兎の両膝で半月版部分切除と前十字靭帯切離し、左膝は大腿神経の膝関節に分枝する前後枝を切離した。手術後6、10、17、24週で屠殺し、軟骨変性の程度をMankin分類により評価し、関節液のコンドロイチン硫酸異性体とヒアルロン酸濃度をHPLC法で測定した。左右いずれも時間の経過とともに関節軟骨の変性は増強したが、短期経過例(6週と10週例)では平均評価点数は右5.7、左5.2であり、C6Sも右が高値であり、変性初期には神経切離が進行を抑制することを示した。 3)Substance Pのリンパ球の増殖に与える影響 健康人の血液を遠心分離し、リンパ球を採取し10%仔牛血清添加 RPMI 培地で培養した。培養細胞をSubstance Pに暴露し48時間後に cell countキットにより細胞数を測定した。その結果30μg/mlの濃度をpeakとする細胞増殖線が得られ、Substance Pはリンパ球の増殖能に作用することが明らかとなった。今後、増殖するリンパ球をflow cytometoryにより同定する。
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[Publications] 斎藤泉,腰野富久,斎藤知行 他: "変形性膝関節症滑膜浸潤細胞におけるCD4およびHLA-DRの発現"日整会誌. 73(8). S1880 (1990)
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[Publications] T.Saoto,T.Koshino: "Distribution of Neuropeptide in Synovium of the Kuee with Osteoanthritis (in press)"Clinical Orthopaedics and Related Research. 374. (2000)