1997 Fiscal Year Annual Research Report
微小赤外線マーカーを用いた手指巧緻動作の解析と障害の評価
Project/Area Number |
09671510
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
酒井 直隆 横浜市立大学, 医学部・附属病院, 講師 (90235119)
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Keywords | 動作解析 / 手指の巧緻動作 / 頚椎症 / 手根菅症候群 / ピンチ動作 |
Research Abstract |
本実験ではまず健常な被検者の右手に微小反射性マーカーを指に貼り付けて種々のピンチ動作を行わせ、これを4台の赤外線ビデオカメラで撮影し、各指関節の変化をVICON370で計算した。この際別に撮影したデジタルビデオ画像を比較して、測定角度の精度を検討した。この結果手背のマーカーの直径を拡大してピクセル数の不足を補うとともに、爪上のマーカーの振動を押さえる工夫が必要と判断し、方法を改善して動作解析に十分な精度を獲得し得た。正常例のピンチ動作では母指よりも示指の指関節が大きく屈曲し、母指は単に示指の動きを受け止めるべく僅かしか動かないことを知り得た。 次いで頸椎症性脊髄症5例および尺骨神経麻痺・正中神経麻痺各5例の患者につき同じ方法でピンチ動作の解析を行い、正常例との差異を比較検討した。その結果、頸椎症性脊髄症患者のいわゆるミエロパチー・ハンドでは正常よりも各指関節を大きく屈曲させていることを知り得た。これは巧緻動作における指進展力の低下を反映したものと考えられ、対象物に接する指尖部の面が正常と著しく異なることも推察された。一方尺骨神経麻痺患者では骨間筋や母指内転筋の筋力低下よりも知覚鈍麻がピンチ動作に大きく影響していることがわかった。 以上の結果の一部を日本手の外科学会、日本臨床バイオメカニクス学会、VICON研究会で発表し、平成10年6月の日本脊椎外科学会、同年8月の国際バイオメカニクス学会、同年9月の日米加墺国際整形外科基礎学会で発表予定である。
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