1997 Fiscal Year Annual Research Report
音響工学的アプローチによる骨折治癒診断装置の開発に関する研究
Project/Area Number |
09671517
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
森田 真史 北里大学, 医学部, 助教授 (20112667)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 一彦 北里大学, 医学部, 講師 (00182709)
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Keywords | 骨折 / バイオメカニックス / 仮骨 / AE / FFT |
Research Abstract |
1.診断装置の開発 出力50W加振装置,関数発生器,直流増幅器で周波数0.1〜150Hz,sin波を周期1.5秒で掃引しけい骨遠位端を加振,骨折部を経由された振動波形を検出し,加速度センサーにて同骨近位端の振動波形を出力として検出した.入出力波形をFFTアナライザーで伝達関数(周波数特性)を求めた.同FFTアナライザーの演算機能を利用して骨折部の共振周波数を算出した. 2.骨折モデルの作成 25-30週齢の成熟白色家兎から脛骨中央部1/3を摘出し,5%蟻酸に6時間,1,2日間浸漬して脱灰してこれを仮骨とみなした.上記の骨を軟X線撮影し,フィルム濃度から脱灰量を測定し,これを仮骨の成長,骨折の修復度とみなした. 3.仮骨の動的粘弾性測定 脛骨骨折モデルの癒合度を観るために,0.1Hzから150Hzの固定sin波を長軸方向に加え,伝達力と位相のずれから,絶対弾性率,貯蔵弾性率,損失弾性率,tanDを測定した. これまでに得られた結果は以下の通りである. 1.縦振動(骨軸方向に加振)の伝達関数は出力レベルが低く,今回使用した加速度センサ(200G)では感度が低九九,共振周波数は不鮮明であた. 2.1の問題点を解消するために,横振動(骨軸に直角)の伝達関数の出力レベルを検出した.脱灰の程度に相当する共振周波数の変化が見られた.最も幼若な仮骨を想定したモデルでの共振周波数は20Hz,非脱灰骨の共振周波数は120Hz程度であることが分かった.これらは直接臨床応用可能なデータではないが,骨折診断のための診断精度分解能を示すものであると考えた. 3.仮骨の動的粘弾性試験では脱灰量に応じて各弾性率パラメータに変化が見られた.非脱灰骨,6時間,1,2日間浸漬した脱灰骨の絶対弾性率,損失弾性率,tanDは2.0×10^9Pa〜5.0×10^8Pa,8.0×10^7Pa〜1.2×10^8Pa,7.0×10^2〜3.0×10^8のレンジで変化した.これらの値は以前我々が行った実際に兎脛骨に作成した仮骨の粘弾性試験の結果とよく相関した.これによって兎の仮骨成長に伴う機械的性質の変化を知ることができた.
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