1998 Fiscal Year Annual Research Report
音響工学的アプローチによる骨折治癒診断装置の開発に関する研究
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09671517
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Research Institution | Kitasato University School of Allied Health Science |
Principal Investigator |
森田 真史 北里大学, 医療衛生学部, 助教授 (20112667)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 一彦 北里大学, 医学部, 講師 (00182709)
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Keywords | 骨折 / アコースティックエミッション / 仮骨 / 髄内釘 / モーダル解析 / 共振周波数 |
Research Abstract |
骨折治癒過程に伴う骨の弾性率の変化を利用した振動解析による骨折治癒診断を行うこと、また同装置を開発することを目的に本研究を行った。一発δパルス波を用いたタッピング法が過去に幾つか報告されているがその荷重方法の問題点を改善するために本研究では過去の報告を参考に1から200Hzのサイン波を0.5秒でスイープさせた波形で兎頚骨遠位部を励振させた。振動は横振動とした。同骨膝関節近位端に加速度センサを装着して伝達された振動をFFTアナライザを用いて周波数解析した。骨折モデルとして頚骨中央部のみを5%蟻酸で脱灰し、浸漬時間に応じて治癒過程のモデルとした。0時間(脱灰前)、6時間、18時間、24時間、48時間の5段階で同一の骨を用いて検査した。また、同骨のソフテックス写真から脱灰の程度を画像解析して、定量た。(結果)脱灰前では120Hz、6時間浸漬骨では114Hz、18時間浸漬骨では103Hz、24時間浸漬では85Hz、48時間浸漬では20Hzの各周波数に顕著な共振点が観測された。一方、脱灰の程度はソフテックス脱灰部平均濃度とし脱灰前の骨濃度を基準にすると6時間浸漬で25.6%、18時間浸漬で28.9%、24時間浸漬で30.4%、48時間浸漬で41.8%であった。(本検査法のメリット)タッピング法ではδ関数波形を利用するため理論上は0から∞の全周波数域が確保されるはずであるが現実にはそれぞれの周波数成分の強弱が制御できず、従って検者が常に同じ状態でタッピングできるとは限らない。操作方法による人的誤差が大きく、診断精度に少なからずこのことが影響を与える。本実験で用いた励振法は必要な検査周波数領域のみの振動でしかも振動強度を均一にして検査できることである。(今後の課題)生体で振動を検出する際、非観血的に皮膚を介して振動を検出することになるがその精度に与える影響度を検討する必要がある。また、実際の骨折治癒と本装置の診断能力を比較検討する必要がる。
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