2000 Fiscal Year Annual Research Report
選択的免疫抑制下での他家神経移植法の確立と神経組織保存に関する研究
Project/Area Number |
09671518
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
池上 博泰 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00193186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲尾 保志 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30188883)
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Keywords | 免疫抑制 / 神経移植 / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
本年度は末梢神経組織の保存に関する研究を中心に行った.実験材料には、生後7日のWistar ratより採取した1cm長の坐骨神経を使用し、program freezerを用いて緩徐凍結を行ったprogram群、液体窒素に浸して急速に凍結したrapid群、凍結処理を行わない新鮮群における神経組織の保存状態を比較検討した.緩徐凍結のプログラムは、10% dimethyl sulfoxide内に神経片を4℃で60分浸し、-40℃まで毎分-1℃の速度で冷却し、さらに急速に-80℃まで下げて30分間維持したあと、液体窒素(-196℃)に保存したものが最も保存状態がよかった.すなわち、program群では、厚い髄鞘で囲まれた多数の軸索が観察されるのに対し、Rapid群では、髄鞘の層構造は崩壊し、Schwann細胞の構造も維持されていなかった.凍結保存した神経片内のSchwann細胞の生存率は、collagenase/dispaseを用いて神経片より細胞成分を分離培養して検討した.評価は、37℃で2日間培養した後、抗S-100抗体を用いた免疫染色でSchwann細胞を同定し、さらに位相差顕微鏡を用いて生存Schwann細胞数をカウントした.結果は、program群は12〜111(平均±SD=59±36)、新鮮群は111〜299(189±56)であり、program群のSchwann細胞の生存率は、約33%であった.一方rapid群では、破壊された細胞の断片のみが浮遊し、viabilityを有した細胞は、観察されなかった.以上より、program-freezerを用いた凍結法を用いることで、Schwann細胞のviabilityを維持した状態で、末梢神経組織を凍結保存できることが明らかとなった.
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[Publications] 仲尾保志: "末梢神経移植の最前線から"臨床整形外科. 35・13. 1479-1487 (2000)
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[Publications] 奥山訓子: "Cable graftにおける移植神経片数と再生軸索数の関係"日本手の外科学会雑誌. 17・4. 376-380 (2000)
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[Publications] 谷野善彦: "ガラス化を用いた末梢神経組織の超急速凍結保存"日本手の外科学会雑誌. 17・4. 367-370 (2000)