1998 Fiscal Year Annual Research Report
椎間板変性の抑制に関する基礎的研究(髄核再挿入モデルにおける長期的経過観察)
Project/Area Number |
09671520
|
Research Institution | TOKAI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
持田 讓治 東海大学, 医学部, 助教授 (50174347)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 和博 東海大学, 医学部, 助手 (20266422)
|
Keywords | 椎間板変性 / 髄核 / 再挿入 / II型コラーゲン |
Research Abstract |
体重1.3kgの日本白色家兎20羽の腰椎前方を経腹膜外経路で展開し、腰椎4/5、5/6、6/7椎間板前側方に21ゲージ針を刺入し、髄核を吸引する。髄核摘出後4週間で、腰椎4/5にメディウム+髄核(腰椎2/3及び3/4から採取)を、腰椎5/6にメディウムを挿入し、腰椎6/7椎間板には27ゲージ針で穿刺のみを行う。再挿入後、2、4、8、24週で標本を摘出、腰椎1/2を無処置群、4/5をメディウム群、5/6を髄核再挿入群、6/7を髄核非再挿入群とする。光顕的観察には5μm切片を作成し、HE染色、safranin O染色を行う。また、椎間板各部におけるII型collagenの分布をcarl Zeus社製共焦点レーザー走査顕微鏡により観察するために、200μmの椎間板正中部矢状断切片を作成する。髄核非再挿入群では再穿刺後2週間で髄核細胞の減少が始まり、4週で線維輪内層が蛇行し、8週ではさらに進行し、髄核細胞に一部集簇化が認められた。24週では線維輪内層の断裂と走行の逆転がみられ、同部にchondrocyte様の細胞が集簇していた。一方、髄核再挿入群では、髄核のhalo構造が保たれ、線維輪の蛇行や部分的断裂もごく軽度であった。再挿入後別週では髄核のhalo構造が明らかでない部分が増加し、髄核細胞集簇化も一部で見られた。線維輪は一部蛇行する部分がみられた。II型collagenの蛍光強度の分布では、髄核非再挿入群では、再穿刺後24週では、線維輪中層、内層にかけて蛍光強度が高くなり、光顕観察における蛇行した線維輪部に集簇するchondrocyte様細胞の分布部分とほぼ一致していた。一方、髄核再挿入群ではいずれの時期においても、線維輪外層から内層にかけて小山状の蛍光強度増強を示す椎間板と、線維輪全層の蛍光強度が低く平坦な椎間板に大別された。このモデルでは、同種椎間板での長期的経過観察における髄核再挿入の変性抑制効果が観察された。II型collagenの線維輪内層での出現は、椎間板変性の進行と相関し、光顕所見におけるchondrocyte様細胞の出現とも相関していた。
|